少量のラミクタールは数種類の薬のバランスの悪さを改善する | kyupinの日記 気が向けば更新

少量のラミクタールは数種類の薬のバランスの悪さを改善する

今回の記事はちょっと特殊なものである。ある患者さんが転院で初診したとき、いかにも薬のバランスが悪いと感じることがある。数種類バラバラに薬が入っていて、急に変更が難しいと思われるとき、少量のラミクタールを追加することで、全体のバランスの悪さを改善することがある。患者さん本人からの言葉としては、

 

なんだか、ギクシャクしていたのが取れました。

 

とか、

 

気分が楽になりました。もう大丈夫です。

 

と言った感想が聴ける。また医師の感じる印象は、表情がすっきりするとか、感情表現がシャープになるなどで感じ取ることができる。

 

以前は、もう少し異なる感覚、例えば、ラミクタールが心の風通しを良くするといった印象であったが、あまりにも異なる色々な薬のパターンでも生じることや、その感覚の出現時期などを考慮すると、そのようなものだけではなく、ラミクタールが潤滑剤のような働きをしているのではないかと思うようになった。

 

例を挙げると、このような処方。

エビリファイ 3㎎
リボトリール 0.5㎎
リリカ 25㎎
ビ・シフロール 0.125㎎
ラミクタール 12.5㎎

 

この患者さんは自閉性スペクトラムの人。転院時はもう少し乱暴な処方で、感情もむき出しというか、あまり状態が良くなかった。今はずいぶんと安定し、一般の仕事も普通に続いている。本人によると、仕事内や友人との関係で事故的なトラブルがすっかりなくなったそうである。

 

またこのような人。

アムロジン 5㎎
リボトリール 0.5㎎
インデラル  20㎎
アモキサン 10㎎
サイレース 2㎎
ラミクタール 12.5㎎

 

この人はジェイゾロフト50㎎とかそういう処方だったので、根本的に治療そのもののやり方が異なっているが、時間が経ち、3回目の入院以降、すっかりそれまであった鬱陶しさと慢性的な頭の重さ、肩こり、不安緊張、頭痛がなくなったという。

 

この人の場合、まだ転院時から処方が大きくは変わっていない。

リーマス  400mg
コントミン 50mg
エビリファイ 12㎎
レクサプロ 10㎎
リフレックス  15mg
レンドルミン 0.25㎎
メイラックス 1㎎
レキソタン 10㎎
ラミクタール 12.5㎎

 

いったい診断はなんなんだ!といったところ。統合失調症と診断されているらしいが、処方を見る限りそうでもないような。だいたい、この処方は難治性の双極性障害の治療に苦労してこうなったように見える。ラミクタールを僅かに追加したところ、表情がぱっと明るくなり、以前より診察時の反応が良くなった。家族も心配が減ったためか、以前は家族同伴で来院していたものが、今はひとりで診察に来る。

 

どうも劇的とまでは言えないが、「この人には良い」ことだけは間違いないようなのである。このような効き方を確認した際はこれ以上、ラミクタールを増やすこともないので、経過中、中毒疹が出ることもほとんどない。

 

自分の場合、なぜかラミクタールでの中毒疹の確率が発売当初よりずっと減っている。