確定申告での医療費控除 | kyupinの日記 気が向けば更新

確定申告での医療費控除

今週日曜日は確定申告の医療費控除やふるさと納税書類の整理をしていた。2月16日から確定申告が始まるからである。(3月15日まで)

 

医療費控除は従来の制度だと、家族の医療費が10万円を超える部分にのみ控除が適用されていた。この制度だけだと、若い人たちは年間医療費が10万円を超えることは稀なので、恩恵がほとんどない(総所得金額200万円未満の人は総所得金額の5%)。

 

しかし歯科などで健康保険が効かず、なおかつ控除が効く治療をした場合、しっかり計算して確定申告した方が良い。ただし、その10万円を超える金額に税金がかからないだけで、そのままその超える金額が戻ってくるわけではない。

 

なお2017年の確定申告から10万円のハードルが高いこともあり、「スイッチOTC薬控除」という特例が作られている。これは1年間に街の薬局で購入した市販薬が1万2000円を超えると、所得から控除できると言うものだ。これはおそらく病院に行く暇などなく、ドラッグストアで薬を買う人に恩恵をもたらすという趣旨がある。実際、このような人たちは医療費削減に非常に貢献している。ただし、いかなる薬が対象になるのかややわかりにくい面があり、昔は医師の処方箋が必要で市販されなかった薬等が対象になる。そのようなことからガスター10などはもちろん良い。(スイッチOTCと呼ばれる)

 

しかし、普段、何らかの健康増進に努めていることが必要で、予防接種あるいは健康診断などを受けていなければならず、微妙にセコイ。健康増進なんて、散歩や水泳だって良いと思う。なお、この制度の上限は88000円である。つまり使った医療費が10万円までなんだと思われる。

 

今回はこの新制度ではなく、従来の10万を超える部分の医療費控除の話である。自分の場合、自分以外に嫁さんと同居はしていないが生計を共にする母が控除対象になる。

 

僕たち夫婦は非常に遠方に医療を受けに行くことがあり、そのJR費用や航空運賃も控除対象に入る。しかし3日連続で通わねばならない場合、まさか、その3日間、飛行機で通う人はいないだろう。毎日の飛行機代は控除対象になるが、医療機関がある県に宿泊した場合、ホテル代は対象にならない(それでもなおホテルを利用する。通院のために疲労困憊しては話にならぬ)。

 

普通、東京都内の移動はスイカやパスモを使うため、領収書が取れないが、その間の運賃がインターネットで容易に計算できるので説明すれば大丈夫のようである。

 

2015年(つまり2年前)、これらの医療費がなんと200万円近かったので、還付される額もかなりのものだった。今年はそこまでないが、100万は超えるため、やはり時間がかかっても計算した方が良い。最終的には腕利きの経理事務所に頼んでいるので自分で税務署まで行くことはない。

 

日本の医療費控除の謎はいくつもあるが、1つはインフルエンザなどの予防接種料は控除にならないこと。上の、スイッチOTC薬控除の適用に予防接種を挙げているのに、ここで適用しないなんて辻褄が合わないような・・

 

また、人間ドックは控除対象に原則ならない。しかし、人間ドックの結果、癌などが見つかった場合、治療に先立って診察を受けたように見なされ、控除対象になるのである。このセコさは、いかなる脳内の計算になっているのであろうか?

 

人間ドックは結果的に莫大な医療費を削減することがあるので、医療費控除になっておかしくない。だいたい、人間ドックは健康保険が効かない自費医療だからである(元々、国はお金を出していないことを言っている)。

 

あと通院に関して、公共機関の運賃は控除されるが、自分の車で行った場合、ガソリン代や駐車場代は(細かいが)控除にならない。タクシー代は微妙で、それを使わざるを得ない状況ではおそらく大丈夫だと思われる(例えば、高齢者の骨折など)

 

また、病院で発行される診断書などは控除対象にならない。不思議なのは、インプラントなどは控除対象になるのに、この高額治療以上に控除されてもおかしくないものが対象にならないことである。

 

単科精神病院に通院する患者さんの場合、自立支援法が適応され、1か月2500円までの支払いで済む人が多い上、多くの税金を支払うほどの収入がある人も稀なので、医療費控除が生きるのは世帯主が高額所得者で、子供がまだ若く入院などがあったケースだと思われる。もちろん、医療費のために税金が戻ってくるより健康な方が遥かに良い。

 

それでも世界的には、日本の精神医療にかかる人たちは、医療面ではかなり恵まれていると感じる。世界中には保険制度が充実しておらず、精神医療を受けられない人たちがたぶん何億人単位でいるであろうし、先進国で保険制度がある程度充実していたとしても、反精神医学的政策で、入院治療もままらない人たちが多く存在するからである。

 

この書き方は、自分の家族や親戚に精神科入院など1人もいないとか、そういう境遇にない人たちには奇妙に見えるかもしれない。しかし、入院すべき重い精神病状態なのに、入院もさせられない状況は、本人ももちろんだが、家族も地獄である。

 

その経験が1度でもある人、または家族の方には、上の文章の真意が理解できると思う。