双極性うつ状態での尿失禁、夜尿について | kyupinの日記 気が向けば更新

双極性うつ状態での尿失禁、夜尿について

双極性障害で重いうつ状態に至ると、尿失禁や夜尿が起こることがある。これは、色々な原因があるが、ひとめ躁うつ混合状態であれば、起こっても全くおかしくない。

 

研修医の頃、あるアルバイト先にまだ20歳代前半の若者が入院していた。院長によると、精神病にならなければ、たぶん東大に合格できるほど優秀だったらしい。

 

彼は病状が重くなると、躁うつ混合状態に至り、尿失禁、便失禁していたが、その度に院長に叱責されていた。

 

僕は何度か叱責されている場面を見ていたことがあるが、表情もうつろで、院長の話をしっかり聴いているのかどうかも定かではなかった。清明な時期の彼と話した時とは雲泥の差と言えた。

 

今考えると、彼は非定型精神病的な病像だったと思うが、いつも診ていたわけではないので、確定的には言えない。少なくともカルテの記載は統合失調症の診断ではなかった。

 

現代的には、若いのに病態が重くなり尿失禁や便失禁が生じるケースに、自閉性スペクトラムのカタトニアが挙げられる。このような人ではまだ20歳くらいでいつもオムツをしていることもありうる。

 

最初に上げた、双極性障害由来の尿失禁、夜尿と、後者の自閉性スペクトラムの尿失禁の大きな相違は、前者がバイオリズムを呈しており、治療の後、すっかり改善し跡形もなくなる流れになりやすいことだと思う。

 

後者は、それに対し数年といった期間、同じ病態が継続することもありうる(珍しい病態だが)。

 

もちろん、カタトニア的でも尿失禁は生じない人もいる。

 

過去ログに、「保護室で便だらけになる人」という記事があるが、今回のエントリの参考になると思う。