重いインフルエンザと精神症状の改善について | kyupinの日記 気が向けば更新

重いインフルエンザと精神症状の改善について

あけましておめでとうございます。今年もよろしく。

 

新年、最初のエントリは精神科に関係のない記事をアップすることが多いが、今年に限れば、無関係の記事が続いていたので、精神科の話にした。

 

一般的に重いインフルエンザに罹患すると、感染症治癒後にそのままうつ状態に至る人がいる。これはそう見えるだけではなく、過去にインフルエンザの大流行とその後、うつ状態に移行した論文がかなり昔に発表されている。重いインフルエンザは、うつ病、うつ状態に関しては悪化要因なのである。

 

ところが、躁状態ないしちょうど興奮状態にある統合失調症の人は精神症状が改善するケースが散見される。これは上の話を総合すると、インフルエンザなどのウイルス感染症がその人のテンションをかなり低める傾向があることを意味している。

 

最も良いのは、躁状態が改善してしまう人である。重く処方しなくてはならないところが、そこまでしなくて済むことがある。特に躁状態を収めることに難渋している患者さん、とりわけ非定型病像に関しては、天の恵み的なインフルエンザである。(もちろん死亡などの重篤な転帰をとらないケースだが)

 

だから、このような出来事があると、まだ全然良くなっていないのに、婦長さんなどに、

 

このタイミングでこれほどの事件が起こるとは、この人はツイている!

 

ということがある。このような際は100%非定型病像を脱出する。だいたい、インフルエンザが起こっても寛解しそうにないように見えるなら、そんなことまで言わない。だって、根拠が希薄だし、婦長さんからバカではないかと思われそうで。

 

オカルト的には、身体がインフルエンザを呼び込んだとも言える。これはある意味、非定型精神病の驚異的な改善に向かう能力の高さなんだと思う。

 

うちの理事長の持論は、「スタッフが院長をリスペクトできないような病院は発展しない」んだそうだ。その点で、ほとんど全てのスタッフのうち、まさか院長が治療が下手だと思っている人はいないと思うので、こちらはかなり仕事がやりやすい上、バカみたいなことも言える。

 

現実的には、民間病院でも院長がとりわけ治療が下手と評されている病院が存在する。院長になるかどうかは、治療が上手いかどうかを基準にしていないからである。

 

あるいは、治療の上手い下手以外のこと、例えば「院長が講演会などのために碌に病院内にいない」というのもスタッフらにとって非常に困る。このようなケースでは、院長が治療が上手いかどうかはあまり意味を持たない。(普通はあまりうまくないことの方が遥かに多い。だってたいして臨床をしていないのに)

 

最初のインフルエンザとうつ状態の話だが、「実は精神病がウイルス疾患で何らかの影響を及ぼすのではないか?」という仮説も可能かもしれないが、僕はそうは思わない。

 

その理由は、いろいろあるが、1つはインフルエンザ罹患を契機に統合失調症や躁うつ病が完治した人がいないこともある。

 

僕はこのようなケースはウイルスレベルでは考えていないのである。