自閉スペクトラム症の易刺激性に対するエビリファイの有効性と安全性 | kyupinの日記 気が向けば更新

自閉スペクトラム症の易刺激性に対するエビリファイの有効性と安全性

 

今回は大塚製薬のパンフレットから、自閉スペクトラム症の易刺激性に対するエビリファイの有効性と安全性についての資料をアップしてみた。ただし、この資料ではN数はあまり多くはない。

 

 

上はエビリファイという向精神薬のまとめ的なページ。4に安全性について記載されている。国内臨床試験において安全性解析の対象となった88例中、臨床試験値の異常を含む副作用が64例(72.7%)に認められたとある。

 

主な副作用は、傾眠48.9%、体重増加18.2%、流嚥9.1%、食欲亢進9.1%、悪心、6.8%、食欲減退6.8%、倦怠感5.7%であった。

 

 

上はエビリファイの作用機序について説明。

 

 

小児期自閉スペクトラムに伴う易刺激性に対する短期試験。変化について、プラセボと比較されている。上記によると、対象は小児期の行動障害(かんしゃく、攻撃性、自傷行為)を伴う7~17歳の自閉性障害患者92例。

 

向精神薬のこのような調査の難しさは、プラセボも実薬に負けずに効果も有害作用も出ることだと思う。(上記パンフレット参照)

 

 

上は長期試験の結果。鼻咽頭炎が多いことに注意。

 

一般にこのような資料では、有害事象=副作用とみなされていない。何であれ、投与中に起こった有害作用は結果として挙げられが、中には到底副作用とは思えないものがある。

 

例えば、「節足動物咬症」は薬による副作用とは思えない。なお、自閉症が有害事象として挙がっているのは、疾患自体の悪化を言う(これは実際に副作用とみなされるものもあるのではないかと思う。エビリファイの特性上)。

 

 

これはエビリファイ投与中止に至った有害事象が挙げられている。85例中7例で、そのうち、多い順に、体重増加2、自閉症2、悪心1、鼻咽頭炎1、過食1、食欲亢進1、傾眠1。中止症例数と合計が合わないのは、たぶんだが、同一の症例に2つ以上の有害事象が発生したからではないかと思われる。

 

なお、ここでは、自閉症の悪化の2例は、治療薬との関連を否定できると記載されている。これは実際に診察している主治医でないとわからないものだ。

 

重篤な有害事象として6つ挙がっているが(上記右側)、副作用と判断されたものは、倦怠感のみであったと記載されている。(これらの判断も主治医による)。