サインバルタ、よくある質問 (中) | kyupinの日記 気が向けば更新

サインバルタ、よくある質問 (中)

前回の記事の続き。

 

Q5、サインバルタとアナフラニールなどの3環系抗うつ剤はどのような点で違うのでしょうか?

 

A5、サインバルタ、イフェクサー、トレドミンは、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込阻害薬にカテゴリーされていますが、いわゆる古典的3環系抗うつ剤、トフラニール、アナフラニール、トリプタノールも同じような特性を持ちます。しかし重要な相違点は、3環系抗うつ剤は他の受容体、ムスカリン受容体、ヒスタミン受容体、α・βアドレナリン受容体への関与も大きく、副作用が大きいことです。3環系抗うつ剤は、口渇、眠気、頻脈、血圧に及ぼす作用、肥満などの副作用が出やすく、忍容性の低い患者さんは服用できないか、継続しにくい難点があります。アナフラニールの副作用を少なくしたものがサインバルタとも言えますが、副作用はかなり服用感や効果に影響するためかあまり似ていません。

 

Q6.ジェイゾロフトなどのSSRIとサインバルタはどのような効果の違いがあるのでしょうか?処方したい時のポイントを教えてください。

 

A6、サインバルタはSSRIに比べ肝障害や腎障害のある人には処方し辛い薬ですが、SSRIでは対処できない患者に非常に有効なことがあります。例えば、SSRI例えば100㎎のジェイゾロフトでもあまり浮上せず、思うように動けない患者さんがいます。このような人にはノルアドレナリンかドパミンを上昇させる薬が治療的です。また、SNRIは疼痛に非常に有効なことが知られており、実際に線維筋痛症にサインバルタは適応を持ちます。トレドミンはアメリカでは抗うつ剤の適応を持ちませんが、線維筋痛症治療薬としてのみ処方可能です。サインバルタなどのSNRIは疼痛性障害を合併するうつ状態には選択しやすい薬と言えます。SSRIは疼痛に効果がないわけではないですが、SNRIほどの効果は期待できません(テーマ:線維筋痛症、慢性疲労症候群、疼痛性障害 参照

 

Q7、サンバルタは朝1回まとめて服用するように言われましたが、2回に分けて飲むと効果が低くなるのでしょうか?(よくある質問)

 

Q7、サインバルタは一応、朝1回服用で良いのですが、患者さんによると朝飲むと眠くて仕事にならない人もおり、そのような人は夕方服薬でも問題ないです。海外の書籍では、忍容性が低い人や、副作用に注意しなくてはならないような身体的ハンデキャップのある人は分服して良いように記載されているので、服用については比較的自由に対処して良いと思われます。

 

Q8、サインバルタとエフェクサーはどちらが良いのでしょうか。

 

Q8、一般に、エフェクサーは資料、知見が多く海外の評判も悪くはないですが、服用初期に嘔気がサインバルタに比べ強く出ることが多く、日本人の平均的忍容性ではエフェクサーよりサインバルタの方がずっと服用しやすいです。効果が良かったとしても、服薬できないのであれば話になりません。

 

(続く)