医学部の雰囲気のことなど | kyupinの日記 気が向けば更新

医学部の雰囲気のことなど

医学部に入学すると、成績の良し悪しがさほど恥にならなくなる。その成績の考え方というか評価が高校時代とは全く違うことに驚いた。また、教養課程で留年するかどうかは、入学時の成績とあまり関係がないという話だった。

 

大学にもなぜかクラスがあり、2組に分かれており一応コンパなどもクラス単位でやっていた。それと別に語学のクラスがあり、これは形だけ3クラスに分かれていたが、たまにクラス単位で忘年会などをやっていたように思うがあまり記憶にない。また、実習やポリクリの5~6人のグループもあり、よく解剖学実習やポリクリの区切りに飲み会に行ったものだ。この辺りは競争意識が乏しく、むしろ戦友みたいなものだった。もう少し成績が評価される環境であれば、きっともっと教養部時代や専門の基礎科目の授業に出ていたと思う。

 

大学の専門課程の成績発表は点数ではなく、「合格」と「不合格」の2つしか評価がないのである。つまり全か無かで、100%近い成績だったとしてもそれが見えないようになっていた。

 

ある親しい友人は担任の教官に何点差で合格(入学試験)したのか聴きに言った。彼の話では7点差で合格していたが、もう1人の高校の同級生は30点以上合格ラインから離れていたという話だった。

 

もう1名、別の親しかった友人がいた。彼はなんと1位で合格しており、後に発表された合格最低点と最高点からすると200点差以上の圧勝だったはずである。しかし、彼は2浪だったし、話をしていてとりわけ頭が切れると言う感じでもなかった。

 

その彼が教養部時代に留年の危機に陥り、年末、彼を含む数人の友人で忘年会をした際、「もしこのまま留年してしまうと、トップ入学で教養部留年という記録が出るかもしれない」という話で大いに盛り上がった。特に例のロックに詳しい友人が面白おかしく冷かしていたが、実際に僕とそのトップ入学の友人はギリギリ助かり、冷かしていた本人のみ留年を決めた。

 

担任に点差を聴きに行くのは、現役入学の学生くらいしかしないようなことで、今さら聴きに行くのは意味がなさすぎる。僕は万一聴きに行って1点差とか言われると、一生忘れられないので聴きに行かなかった。実際、聴きに行ったのはほんの数人だったと思う。

 

最初の聴きに行った友人だがその後、楽に進級し現役入学ストレートで卒業し、今や医師としてのパフォーマンスは学年で3位以内に入るようである(推測で言っているのは、大学の基礎の教授が言っていたのをそのまま言っているため)。

 

ところが、彼の同じ高校の大学入試の成績が若干良かった友人は教養課程や専門課程で留年を重ねその後、国試に合格したので、医師になれなかったわけではないが、大学時代の成績は悪かったことになる。僕の同級生で現役で入学したのに、そのまま教養部を抜けられず放校になった人もいる。

 

結局、その人の真の能力は18歳や20歳ではわからないんだと思う。

 

特に医学部は卒業して医師になってからの考え方というか仕事への取り組み方などが大きく影響するよう思う。その点で、特に臨床では、どの大学を卒業したのかなども大きな問題にならない。

 

大学時代、成績の悪さが恥にならない雰囲気は、ある意味、理にかなっているように今では思える。