エビリファイは糖尿病に禁忌ではない
上は、大塚製薬株式会社のエビリファイ1ml包装のパンフレットである。ここに記載されているように、最初に警告として赤文字で糖尿病患者へのリスクが注意喚起されている。
この記載の仕方は相当に問題があり、精神科ではない病院の薬剤師さんから、「エビリファイは糖尿病に禁忌ではないですか?」などと質問されることがある。また、近年は添付文書もインターネットで検索できるようになったため、患者さんからも、
「先生は、糖尿病に禁忌のエビリファイを処方した」
などと勘違いされることがある。僕は別のパターン、
「あの医者は糖尿病に禁忌なのも知らないで自分にエビリファイを出した。」
と転院した理由に挙げる患者も経験している。全く、その医師にとっても迷惑な話である。
よく読むと、警告のすぐ下の禁忌の欄には、糖尿病は記載されていない。
これはパンフレットの末尾にある添付文書風の記載だが、ここにも真っ先に糖尿病の警告が挙がっている。
定型ないし非定型抗精神病薬で糖尿病に禁忌とされているのは、ジプレキサ(オランザピン)およびセロクエル(クエチアピン)のみで他は禁忌ではない。
それどころか精神科医は、糖尿病とわかっている患者には非定型抗精神病薬の中ではロナセン、エビリファイ、ルーランを選択しやすいと思う。
その理由は、それ以外の糖尿病に禁忌ではない非定型抗精神病薬、例えばリスパダール、インヴェガ、クロザリル、ロドピンは肥満を生じやすいからである。(シクレストは発売されたばかりなので保留)
添付文書の警告は情報の混乱を招いている。
以下は、このパンフレットのほかのページ(の一部)。参考にアップしている。
下は、液剤のデザインなど。