セカンドオピニオンと選定療養費 | kyupinの日記 気が向けば更新

セカンドオピニオンと選定療養費

精神科ではセカンドオピニオンの話が出ることは意外に少ない。おそらく、セカンドオピニオンという言葉を知らない人も多いのではないかと思う。(アンケートを取ったわけではないが)

 

セカンドオピニオンとは、簡単に言うと他の医師の診たてを聴くことである。この場合、「別の病院ないしクリニックでの診たて」を言うのではないかと思う。

 

ここで、重要なことがある。

 

この場合、一般的な感性だと、現在の主治医にセカンドオピニオンの紹介状を書いてもらうなんて、到底できないと思うのが普通だ。

 

それは、ケースにもよるが、かなり失礼な行為(あるいは侮辱行為)になる可能性があるからである。その後の円満な主治医との関係を壊すリスクも大きい。

 

ケースにもよると書いたが、以下の状況ではおそらくさほど失礼にならないと思うが、おそらく感じ方はその医師の性格にもよる。また依頼の仕方にもよるだろうと思う。

 

例1

児童思春期専門ではない主治医に、発達障害を専門で診ている医師にセカンドオピニオンの紹介状を求める。

 

これは、僕は積極的に紹介状を書いている。個人的に児童思春期を主に診ている医師の診断は非常に興味があるからである。

 

例2

認知症のうち、アルツハイマー型かそうでないかは治療方針に大きく影響する。典型的ではないと思う場合、家族は認知症治療の専門病院にセカンドオピニオンを求めても良いと思われる。

 

これも、大きな病院では様々な検査も可能なため、積極的に紹介する。微妙な病態では、依頼されなくても紹介状を書くことがある。

 

精神科では、特に内因性疾患の場合、中核病院で診てもらう価値があるかどうか微妙なケースも多い。その理由は、大学病院や国立ないし県立病院がより良くなるというものではないからである。(理由は、過去ログのあちこちに記載している)

 

また、地方では精神科病院ないしクリニックの選択の余地がないこともあるので、主治医との円満な関係を保つことはとても重要だと思われる。

 

そのようなことから、中核病院にセカンドオピニオン求めて受診する場合、紹介状なしで受診せざるを得ないことの方が多い。

 

大規模な中核病院に紹介状なしで受診した場合、民間病院ないしクリニックとは異なり、「選定療養費」なる別料金がかかる。これは病院により料金が異なり、たぶん個々の病院で決めていると思われる。3000~5000円プラス消費税くらいが多い。これはもちろん保険は効かない。

 

民間病院から民間病院ないしクリニックにセカンドオピニオンを聴くために受診した場合、おそらく紹介状がなくても診てくれる病院が多く選定療養費もかからないが、たまに紹介状なしの患者を断る病院もある。

 

これは実質、セカンドオピニオンのためだけの初診を断っていると同じだが、たぶんそのような意図はなく、前医が紹介状も書けない患者を排除するためだと思われる(他病院で問題を起こしたような患者)。

 

また、セカンドオピニオンの場合、自立支援法は使えず3割負担になることが普通だ。他科だと、10割負担にしている病院もあるかもしれない。

 

精神科ではセカンドオピニオンを聴くためだけだけで初診する人は稀で、来るときは転居などのため、転院目的で初診することが多い。今なお、セカンドオピニオンは精神科では一般的ではない。

 

他科では、例えば乳癌などの診断をされた場合、他の乳癌を専門に診ている医療機関の意見は是非聴きたいところだと思う。その理由は、乳房が残せるかどうか、あるいはその選択の場合、どの程度のリスクがあるかを知りたいと思うのが普通だからである。

 

このようなことを考えていると、やはり精神科は特別な科だと思う。そう思う理由は、紹介状なしでも、生活歴や病歴などをその日に聴取できるからである。

 

上の乳癌の場合、前医のさまざまなレントゲンやCTなどの検査所見が揃っていないと、おそらくセカンドオピニオンも依頼できない。(つまりこっそり行くことは難しい)

 

この差は大きいと思う。