レクサプロとルーラン | kyupinの日記 気が向けば更新

レクサプロとルーラン

この記事はルーランのテーマとすべきだが、それだとなかなか目に触れないため、レクサプロのテーマに入れている。

レクサプロは不安に効果が高いSSRI(抗うつ剤)の1つだが、ルーランも不安に効果的な非定型抗精神病薬である。ルーランは、エビリファイやロナセンなどの新しい抗精神病薬の発売以降、あまり売れていないのではないかと思う。

エビリファイとルーランは軽いという意味で似た抗精神病薬だが、少量での不安対する効果はおそらくルーランが上回る。これは過去ログにもあるが、おそらく、ルーランがセディールの派生薬物であることに関係する。

あるとき、レクサプロを増量中、20㎎でも不安感がさほどよくならない患者さんがいた。その患者は忍容性を考慮し5㎎から増量しており、漸増することで20㎎でも服薬できない人ではなかった。

しかし、効果は十分ではなかったのである。そこで、レクサプロを漸減し、ルーランを1㎎から2㎎まで増量してみた。

自分でいうのもなんだが、いかにも効果がないか、むしろ悪化しそうな試みだと思う。

そうしてこのような処方になった。

レクサプロ 10㎎
ルーラン  2㎎


この処方は、副作用の大きさという視点で、ルーランの用量は問題にならない。

また、この患者さんはレクサプロ10㎎および20㎎単剤でも全然、不安やパニックが収まっていなかったのである。

ところが、この処方で様子を観ていたところ、本人によるとかなり不安感が改善し、パニックも生じなくなったらしい。

ルーランは1㎎だけ服薬させても不安感が改善する人がいるので、この処方ではルーランの役割は比較的大きいのではないかと思われる。

まさか、ルーランがここまで効くとは思わなかったよ。

なお、レクサプロに限らずSSRIは時間が経つと、むしろ止めた方がパニックが全然生じなくなる人がいる。これは不思議な現象だと思う。

例えば、

レクサプロ 10㎎
ワイパックス 1㎎


だったような人が、ある日、自分でレクサプロを止めており、理由を聴くと「レクサプロを飲んだ日の方が断然パニックが増えるので、やめた方が良い」と言う人である。この人はその後、ワイパックスだけ服薬しているが、全く問題がない。

この人は最初はレクサプロは不安やパニックに良いなどと言っていたので、また違ったタイプの腰折れとみなすことも可能だ。

つくづくルーランは不思議な薬だと思う。欧米などの海外で発売されていないため、エビデンスが増えないのが残念である。

参考
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