他科の薬を精神科で処方してほしいという希望 | kyupinの日記 気が向けば更新

他科の薬を精神科で処方してほしいという希望

外来患者さんから、

他の科の病院の薬を精神科で処方してほしい。

と希望されることがある。その理由は、精神科と他の科の2か所になると時間がかかることが大きいと思われる。

ある日、自分の病院の近所の整形外科にかかろう思い、午後の診察開始時間の15分前に行ったところ、名前を書こうとしたら、事務のお姉さんから1時間以上は待たないといけないと言われた。

外来の待合室は、既に患者さんがギッシリ満員だったのである。ショックを受け、その日は諦めて帰宅した。

自分の外来はスピード診察なので、1時間待たされたとしたら奇跡である。40分待ってまあまあと言える。運が良いと受け付けを済ませ、トイレに行った時に呼ばれる(受け付け直後、外来にいない患者はほぼトイレにいる)。

朝一番はかえって待たされることが多い。その理由は、まずデイケアの患者さんを診察するからである。そういうルールになっている。したがって、朝一番より、11時頃の方がかえって待たない確率が高い。(予約制ではないため)

これは今はほとんど新患を診ていないこともあると思う。新患をほとんど診ていないとは言うが、それでも毎週、リエゾンを除いても、3名前後は診ていると思う。

外来で待たないことに慣れているため、受け持ち患者さんは外来で待つことに慣れていない。ある日、たまたま混雑し、1時間くらい待った患者さんがいた。すると、外来でパニック発作を起こしたのである。その人がパニック発作を起こしたのは初めて見た。

そういう人が、あのような整形外科(しかも狭い待合室)に1時間以上待つのは拷問に近いであろう。

かくして、

他の病院でもらっている薬を精神科で処方してほしい。

といった希望が出る。これは結論から言うと、簡単なものは処方出来るが、

専門性の高い薬は難しい。

と伝えている。たとえば、リウマチや心臓病の薬、糖尿病の新薬などである。抗がん剤ももちろん出せない。

上の整形外科受診の話の結末だが、いつもリエゾンに行っている病院の整形外科のドクターにお願いしたら、昼の休みの直前くらいに来ると良いと言われ、その時間に急行したら、すぐに終わった。

リエゾンの患者さんは、内科、整形外科、外科、神経内科の順に多い。特に認知症の患者さんの大腿骨頸部骨折の手術前後のBPSDのコントロールを依頼されることが多く、このようなことで少しだけご利益があるのであった。

このような経験から、薬は1か所の病院で貰いたいという気持ちは非常にわかる。

しかし、できるものとできないものがあるのである。