精神障害者福祉手帳とサービス | kyupinの日記 気が向けば更新

精神障害者福祉手帳とサービス

精神障害者福祉手帳は過去ログに断片的に記事があるが、今回、簡単にまとめてアップする。手帳を持つことによる受けられるサービスは自治体により多少異なり、一般的には大都市ほどサービスの種類が多い。

精神障害者保健福祉手帳は、1995年に改正された精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に規定された精神障害者に対する手帳制度である。

ところが精神障害者家族会の強い反対から、手帳に本人の写真を添付することができなかったため手帳を持っている人たちへのサービスが広がらなかった。これは当然であり、名前だけの記載では、家族内で1人持っていれば、同性の兄弟や姉妹は使いまわすこともできた。

その後、写真を添付しないとサービスが小さなものに留まる不利益が大きいことが意識され、写真を添付するルールになった(2006年10月1日申請分から改訂)。このような経過もあり、手帳の保持者は広くサービスを受けられるようになったのである。

なお、精神保健福祉手帳を開くと、級と「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の記載はあるが、精神疾患の病名は記載されていない。また表紙には障害者手帳としか記載されておらず、ある程度、配慮されている。

主なサービス(自治体により多少異なる)
○公共料金の割引
○携帯電話基本料金の割引
○NHK受信料の減免
○上水道料金の割引
○生活福祉資金の貸付
○公共施設の入場料などの割引(美術館、水族館、動植物園など)
○民間施設の入場料、利用料の割引(映画館、テーマパーク、遊園地)
○鉄道、バス、タクシーなどの運賃割引
(なお、JR及び航空会社、高速道路、都市高速は現在のところ対象になっていない)
○NTTの電話番号案内(104)が無料(要申請)

○福祉手当
○所得税の控除
○相続税の控除
○住民税の控除
○障害者控除(1級・40万円。2級3級・27万円)
○贈与税の非課税(1級所持者・6000万円まで)
○自動車税・自動車取得税の軽減
○個人事業税減免
○預金利子所得等への非課税適用(マル優・要申請)
○日本国債や地方債等の利子非課税制度(特別マル優・要申請)
○生活保護障害者加算(2級以上)
○駐車禁止除外指定車標章の交付(1級のみ、要申請)
○自治体運営住宅への入居優先
法定雇用率の対象(2006年以降)


なお、精神福祉手帳の対象精神疾患は、いわゆる障害年金に比べかなり広く、比較的軽い精神疾患でも3級程度であれば取りやすい。ただし3級だと受けられないサービスもある。この辺り、問い合わせの窓口は、かかっている精神科病院のPSW(精神保健福祉士)である。

3級レベルの精神所見
日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの。

クリニックでもPSWを雇っているところもあるが、雇っていないクリニックも多数ある。普通、デイケアも実施している規模の無床のクリニックではPSWがいることが多い。PSWがいなくても主治医に言えば、案内してくれると思われる。(大都市では精神保健センターなどに相談することも可能)

例えば、NEXCO西日本のサイトでは、以下のように記載されている。

有料道路では、「身体障がい者の方が自ら運転する場合」または「重度の身体障がい者の方もしくは重度の知的障がい者の方が同乗し、障がい者ご本人以外の方が運転する場合」に、事前に登録された自動車1台に対して、通常料金から割引率50%以下の障害者割引を実施しております。 この割引制度は、通勤、通学、通院等の日常生活活動において、自家用車を利用されている障がい者のお客さまに対して、通行料金を割り引くことにより、走行条件の良い有料道路を快適にご利用いただき、社会的自立をお手伝いしようという観点から導入されたものです。 ご利用には事前のお手続きが必要となりますので、ご注意ください。

これを仔細にみるとわかるが、身体および知的障害は対象としているが、精神は対象としていない。身体と精神の間で差異があるのが相当に謎である。

いずれにせよ、このようなサービスは、今後も広がっていくと思われる。

参考
障害者雇用率制度
障害年金と自立支援法の診断書料