近い将来、ジプレキサザイディスの2.5㎎錠が発売されるらしい | kyupinの日記 気が向けば更新

近い将来、ジプレキサザイディスの2.5㎎錠が発売されるらしい

現在、ジプレキサザイディスの剤型は、5㎎と10㎎錠しかなく、なぜか2.5㎎は普通の錠剤しか発売されていない。

これは2.5㎎錠は小さいため、技術的に難しいなどと言われていた。薬のように人間が服用するレベルの錠剤で、小さいからできないなんてことがあるのだろうか?と思っていた。このハイテクの時代に。

多分だが、イーライリリーは2.5㎎の日本での有用性を重視していないのでは?と思った。イーライリリーは馬鹿のひとつ覚えのように高用量投与を推奨していたからである。

体格の相違があっても、「ジプレキサに限れば日本人も西欧の人も必要用量は変わらない」という話をよく聴かされた。

その挙句、カナダくらいから、たぶんお抱えの大学教授を呼び寄せ、同時通訳の女性を2人くらい雇い、「ジプレキサは30㎎~40㎎くらいの大量が非常に有効性が高いと言った(多ければ多いほど良いといった要旨)」講演の行脚を行っていた。

これは、失笑というか顰蹙もいいところの営業姿勢と言えた。

だいたい日本では、ジプレキサのような高薬価な非定型抗精神病薬は、用量の上限を超えるとレセプトで厳しく査定される。上限を超える用量の推奨自体がおかしな話なのである。(よくやるよと言ったところ)

県によって査定の厳しさが異なり、30㎎では査定されない県もあったようである。この場合、他県に転居した人は非常に困ることになった。ジプレキサは、なんだかんだ言って合っている人には代替が効きにくい極めて優れた抗精神病薬だからである。

現在発売されている汎用される(つまりクロザリルを除く)抗精神病薬の中では、優れていると言う点で、ジプレキサとエビリファイの2剤が抜けていると思う。

認知面の改善に限れば、エビリファイの方がジプレキサより更に優れている。(ただし高用量での扱いは、エビリファイの方が技術的に難しい)。

現在、イーライリリーの向精神薬は多くはないが、優れた薬が多い。ジプレキサ、サインバルタ、ストラテラはいずれもイーライリリーが扱っている向精神薬である。

一言でいえば、薬と営業のレベルに、いかんともし難い乖離があると言えた。

イーライリリーはジプレキサを主に販売していた当時は、スーパーマーケットの販売レベルの営業姿勢だったが、サインバルタ、ストラテラなどを次々上梓しているうちに、少しずつ余裕が出てきたのか、製薬会社っぽくなってきたと感じる。

それでもなお、自分のホームページの患者さん向けのサイトに、疼痛とうつの強調をしているのは「やや痛い」と思えることだ。その理由は、現在、日本ではサインバルタは疼痛に対する適応を取れていないから。

今回、イーライリリーがジプレキサザイディスの2.5㎎錠の上梓を決断したのは、真に有用性を考慮したものと思う。

リエゾンをしていると時々感じるが、高齢者に投与したい時、もしジプレキサザイディスの2.5㎎錠があれば、かなり便利なのは間違いない。

ジプレキサの2.5㎎錠に比べ、ザイディス錠は多少コストがかかったとしても、おそらく同じ薬価になると思われる。そのようなことを考慮すると、イーライリリーの2.5㎎ザイディス錠は70%は患者さん側に立った販売方針と言える。

ジプレキサはあと2年くらいでジェネリックも発売される予定である。しかし、ザイディスは別な特許になるようなので、ジェネリック発売の際に同時には発売されない確率が高いと思う。(ここが残りの30%)。

向精神薬におけるイーライリリーの薬は高薬価なものが多いので、その気になれば、洗練された営業は可能ではないかと思う。