妄想性障害の周囲に信じさせる力 | kyupinの日記 気が向けば更新

妄想性障害の周囲に信じさせる力

妄想性障害の人と統合失調症の人の最も大きな相違は対人接触性である。前者は全く統合失調症っぽくない。

例えば健康な10名の中に入れて黙っていてもらうと、全く区別がつかない。(ホンモノはどれだ?の世界)

他の重要な点として、妄想性障害の妄想はかなり荒唐無稽なこともあるが、2次妄想から発展しているように見えることと、ぶれないことである。

一方、統合失調症の人の妄想は、荒唐無稽ぶりもさることながら、内容の詳細が変わったりと、主旨に浮動がみられる。(比較的、固定していることもある)

妄想性障害の人でもかなり荒唐無稽な妄想、例えば、隣人が「電磁波をかけて来る」などは、全ての家族は全く本気にしておらず、対応に弱りきっている。

また、当事者は警察署に何度も執拗に事情を説明に行ったりするため、警察署員もやはり、辟易しているというか、「この人なんとかならんのか?」くらいに思っている。

普通、「隣人が電磁波をかけて自分を弱らせている」という話を信用できる人は滅多にいない。数万人から数十万人に1人は信用するかもしれないが、そういう人は同じ体験があったりする。

信じる人は想像力があるから信じるのではなく、その逆である。つまり、想像力には限界とされる領域がある。

電磁波に限らず、「東日本大震災は地震兵器で起こった」という話も同じ部類と言える。信用されそうにない理由は、その非科学性と、動機が見つけ難いことである。一般に、統合失調症の人と妄想性障害の人の妄想は、荒唐無稽でもタイプが若干異なる。

ところが、たまにある妄想が、家族全員に共有されていることがある。一方、統合失調症の人の妄想が、家族内で共有されているのは見たことがない。

妄想性障害の人の妄想は荒唐無稽だとしても、端緒は2次妄想的だったり、内容のぶれのなさ、他の言動や行動に破綻がないこと、また当事者の家族内の重要性や、カリスマ性を持ち合わせることで、信憑性が出てくるのかもしれない。

それは彼らが総じて想像力が低いこと(遺伝性)や、狭い閉ざされた空間にいることも関係している。

つまり、時に妄想性障害患者は環境を味方につけて、周囲の人々に妄想を、

信じさせる力。

を持つことがある。

世界的には、カルト的新興宗教の教祖にこのようなケースが散見される。例えば、アメリカの「人民寺院」などである。人民寺院は、悲惨な集団自殺を招いた。これはドキュメンタリー映画にもなっている。(参考

参考
想像力の低下と妄想性障害
統合失調症っぽくない妄想
伝播はあるが電波はない
瞬間的な表情