自分は2度死んだので多分長生きしますよ | kyupinの日記 気が向けば更新

自分は2度死んだので多分長生きしますよ

今から20年くらい前だろうか、時々外科系の先生たちと麻雀をしていた。県外にいた頃の話である。

あの人たちは体力が半端ではないし、徹夜も厭わないので、できればしたくない相手であった。僕はまだ若かったし召集がかかれば先輩であるし断れない。彼らは時間の観念がないのが困るのである。

しかし、その外科系の医師(開業医)は、当時僕よりは30歳以上年上だったので、普通に考えると、体力がこちらの方があるはずだ。変な話であるが、当時の方が今より体力がなかった。しかし実力は明らかにこちらが上である。

ある時、その外科医が麻雀をしながら、

自分は2度死んだので多分長生きしますよ。

と笑った。「なぜですか?」と聴くと、2回ほど心筋梗塞か不整脈か忘れたが、心肺停止を起こしたというのである。この2回の臨死体験を経て「自分はなかなか死なない」という結論に至ったらしい。

全くおめでたい話で、これはある種の自己暗示である。

普通、「1回死んだから長生きする」と言う見解は理解できる。2回死んだ人は3回目を心配する方が自然だと思う。「2度あることは3度ある」という諺もある。まあ、本人がそう納得しているのでどうでも良いが。

実は、医師は何らかの原因で心停止を起こしても状況的に意外に救命される。僕はそのような人を何人も知っている。これは環境的に周囲に医師がいることが大きい。例えば、家でご主人が心停止を起こし、たまたま料理をしていた奥さん(内科医)が気付き、必死で蘇生したところ後遺症を残さず回復したなどである。(その男性はまだ20代だった。その後、薬を飲んでいたらしい)

また、スポーツクラブに友人と一緒に行っていて、暑さのために心筋梗塞(脱水による)を起こし、その後、数人で救命して助かったなどのケースである。(この人の後遺症の有無は不明)

外科医の話の戻るが、それくらいの経験をしても、なお不健康な麻雀を続けているというのが立派である。たぶん、奥さんも止められないんだと思う。

僕の場合、徹夜だと翌日の仕事に影響が出るので、徹夜で仕事はしないことにしている。しかし彼らは、翌朝の仕事開始30分前まで麻雀をしていても大丈夫なんだと。全く立派な体力である。

しかし、他の外科医はまた違った見解であった。

あの人は麻雀ができるから開業医として仕事もしているし、元気に生き続けている。

という結論であった。この世に麻雀がなかったら、とっくに死んでいると言うのである。彼は外科医だが、精神科医的な理解だったと思う。

ある時、連続36時間のデスマッチがあった。元々はそうではなかったのだが、僕が圧勝の状態が続き、

勝ち逃げは許さん!


という話になり終われなくなったのである。なんとトップを12回連続で取ったりした。また、その36時間の間に、2回の役満を上がった。そのうち1回は緑一色である。36時間の終わり頃、駄目押しの国士無双が出た。あれほどバカツキ状態は10年に1回くらいである。

とにかく、あの時はいつになったら終わるのか、その方が気になった。その外科医は大変なヘビースモーカーで、36時間の間に7箱も目の前で吸いやがったのである。僕はタバコを吸わないが、自動的に大変な量の副流煙を吸い込んだことになる。(僕の世代より上の医師は、あらゆる科で喫煙する人の方が多い印象)

その外科医の人は、その後も長生きし、結局は亡くなったが大往生であった。

神田橋先生の書物の中で麻雀にまつわる面白い話がある。ある時、神田橋先生が男性患者さんを治療していた際に、

今までの人生のうち、どの頃が一番元気でしたか?


か聴いたのである。その男性患者さんは、「駅前の雀荘によく行っていた頃が元気でした」と答えた。そこで、神田橋先生は、その頃と同じような生活をしてみるように薦めたのである。

あっという間にうつが完治したという。

(終わり)

参考
国士無双のダブルリーチ
徒然なるままに浪費癖とギャンブル癖を考える