昔は単科精神科病院はエアコンなどなかった | kyupinの日記 気が向けば更新

昔は単科精神科病院はエアコンなどなかった

今はどの精神科病院もエアコンが入っているが、昔は単科精神病院はエアコンなどなかった。今から考えると、夏は大変な療養環境だったと思う。

入院の男性患者さんは上はシャツ1枚に短パンなどの服装である。

よく考えると、精神疾患の人は一般の人と比べ、向精神薬を飲んでいることもあり熱中症になりやすいと思う(僕の感覚)。

それでも院内にいて、熱中症になる患者さんはほとんどいなかった。

これは、当時は今よりエアコン他、電気製品が少なかったので、今より暑くなかったのかもしれない。

定型抗精神病薬から非定型精神病薬に変更後、「以前より汗が出やすくなった」などの訴えが見られることがある。抗精神病薬は発汗などの自律神経系に影響を与えているのである。

ずっと以前、地域の中枢病院で働いていた時、ある患者さんを強制退院させざるを得なくなった。(参考)。

その後、数ヶ月して彼が転院した病院に行く用事があり、本人に会うことができた。彼にその病院の感想を聞くと、

この病院は待遇が悪いですね。

と言う話であった。その単科精神病院はエアコンがなかったからである。(前の病院は総合病院なので既にエアコンが付いていた)。また食事も全然違うと話してたのである。

「待遇が悪い」という言い方は面白いと思った。彼は元の病院に戻りたいと希望したが、これは外来での受診拒否と同じく普通は無理な話である。

しかし、地域の中枢の総合病院に転院させざるを得ないこともありうる。例えば麻痺性イレウスや癌などの治療が必要な時である。

単科精神病院同士ではそういうケースがない。

僕は強制退院処分にした患者さんを再び診たことは過去に一度もない。

参考
強制退院の話