「2ちゃんねるとアスペルガー」のコメントについて | kyupinの日記 気が向けば更新

「2ちゃんねるとアスペルガー」のコメントについて

26 ■アスペと2チャンネル
アスペの方は基本的には自閉症なので、掲示板などで人と交流しようとはしません。私の経験上、掲示板に書き込みしているアスペの存在は聞いたことがありませんし、2ちゃんごときには見向きもしないで他の専門的なことにはるかに強い興味を示します。およそ、常人の脳の構造とはかけはなれているので、アスペ=2チャンネルという簡単な構図にははまり切りません。もう少し、アスペや発達障害について正しい認識を持って頂きたいと思います。

児童精神科の医師です。 2009-05-29 08:04:14


「2ちゃんねるとアスペルガー」のエントリで、上のようなコメントがあった。これは、今まで僕が主張していることに関係があるし、また参考にもなるコメントだと思ったので、今回取り上げることにした。

今まで僕が主張していることに1つに、アスペルガーは自閉性あるいは社会的自閉性を重視すべきで、誰も彼もそのような診断をすべきではないというものがある。(「アスペルガーを乱発するな」。ネットで「自己診断してる人は本物も偽物もない」と言った内容)

また、関連事項として「インターネットは意外に普及していないこと」が挙げられる(過去ログ参照)。元々2ちゃんねる人口なんて日本全体から見ると、たいしたパーセントではないのである。このようなことから、コメントの児童精神科医さんがこの疾患の自閉性を重視しているのなら、「2ちゃんねるなどにアクセスしない人がほとんど」と思うのは理解できる。

しかしそれは自閉性の高い患者さん側からみた1つの光景に過ぎない。

実際、僕のブログでもインターネット接続より、携帯電話によるアクセスがずっと多い。以下はここ1週間のアクセス解析である(ページ別)。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

2ちゃんねるではアスペルガーに関するスレッドがメンヘル板だけでなく色々な板で存在しているし、「横浜の○○医師から診断されているので自分は間違いなくアスペルガーだが、あの医師の診断はアテにならない」とかアスペルガーと診断された人たちの間でコミュニケーションの悩みなどが議論されている。その少ないパーセントの住人を見ると「全然いない」なんて言えないのである。

元々、すごく重い自閉性のあるアスペルガーの人はネットどころではないが、もう少し関わりを持とうとする人はネットにしばしば現れる。それはアスペルガーを公言するブログなどが意外に存在することでもわかるし、だいたい僕のブログにも彼らによるコメントが見られている。

最近のグーグルの調査では、2ちゃんねるの住人は意外に高収入で、平均年齢も高いことがわかってきている。(2ちゃんねるは、もう10年くらいの歴史がある)これは、普通の人や、アスペルガー的とは言え、比較的社会適応が良い人が多いことがわかる。だから、アスペルガーと言ってもその色彩がある人たちが比較的いるだけで、そう診断まですべきかどうかは疑問だ。実は「このアスペルガー的」というのは他の視点でも観察可能であるが、この辺りはいつかまとめてアップする予定であった。(1週間連続で、歌い上げるように・・)

アスペの方は基本的には自閉症なので、掲示板などで人と交流しようとはしません。私の経験上、掲示板に書き込みしているアスペの存在は聞いたことがありませんし、2ちゃんごときには見向きもしないで他の専門的なことにはるかに強い興味を示します。

もしこの児童精神科医さんの話が真実なら、書籍もたくさんあるような著名な広汎性発達障害の専門家は誤診だらけと言うことになる。そう考えないと辻褄が合わない。まさにこのことを僕は批判的に書いているのである。業界全体でコンセンサスがないように見えることや、安易な書物の乱発が患者さんに混乱をもたらしていると思う。