朝起きられなくて学校に行けない | kyupinの日記 気が向けば更新

朝起きられなくて学校に行けない

このような主訴で紹介される人がいる。このタイプのある種の睡眠障害は「睡眠相後退症候群」などと便宜的に診断はつけられているが、実は、うちの病院は厳密にそのような診断ができる医療機器はない。

ところが、うちの病院には光療法に加え、入院施設があるので、友人のクリニックからよく紹介される時期があった。(今はそこまでないが)

かつてこのような所見で来た人たちは、ほとんどのケースで睡眠は大きな問題ではなかった。

というのは、抗うつ剤で治療しているうちに、睡眠の問題は主症状には見えず付随的所見に過ぎないようになったからである。

このような紹介状でやってきた人たちをつらつらと思い浮かべてみると、基礎疾患が、広汎性発達障害モドキ、というのが数名いたように思う。こういうタイプの人はもう高校生以上の年齢だったし成人している人もいるくらいで、程度は軽いかもしれないが、社会的不適応が大きいのである。薬は弱い人もいれば、そうでもない人もいた。過去ログで少し紹介した人もいる。(大学に通えず、このままでは退学になってしまうというパターンが多い)

そうでなければ、内因性でも神経症性でもないうつ状態の人。これは僕にいわせれば器質性なんだろうと思う。しかし何か脳内に見えるものがあるわけではない。

この点から、僕は大雑把に捉えて、その広汎性発達障害モドキも器質性疾患に変わりがないので、広く現在風の「器質性疾患」と考える方が合理的だと思っている。睡眠、不登校?の問題が前景に出ているか、リストカットや希死念慮が前景にでているか、表現型の相違に過ぎない可能性があるからだ。

なぜ、友人(僕の先輩である)が僕に紹介したのかは不明だが、少なくとも、睡眠の専門治療機関ではないので、他の治療でなんとかしてくれといった感じなのであろう。僕の大学はもともと睡眠相後退症候群なんて、本気に考えていないからである。(睡眠時無呼吸症候群は存在する。これはサイエンスだからである)

全般に3環系抗うつ剤で比較的良くなった人たちが多かったように思う。最も良かったのはトフラニールなのだが、結局、他の3環系抗うつ剤に変更した人もいる。3環系でも重要なのはトフラニールとアナフラニールである。あるいはデプロメールなどの軽いSSRI。補助剤は、リボトリールやデパケンRやエゾウコギ、バッチフラワーである。このあたりをいろいろいじってているとなんとかなる。大学を留年しているような人でもうまくいくと、復活して前より成績がアップするような感じになる。

ああいう人を、「睡眠相後退症候群」なんて診断している人は、よほどスジが悪いんだと思う。なぜなら、本質を見抜いていないからだ。それは書物の診断基準ではそうなるのかもしれないが。

朝起きられないのでも慢性倦怠系の人は、トフラニールよりややアナフラニールの方がマシだ。慢性倦怠の人でいまいちSSRIが合わないのは、この薬がやる気をなさせる面があるからだと思う。(学校などどうでもよくなると言う意味)

慢性疲労症候群という謎の疾患だが、リウマチなどの免疫疾患や線維筋痛症の関連が時々話題になる。僕は線維筋痛症はリボトリールはぜひ試みるべきだと思う。この組み合わせである。

リボトリール 0.5~1.5㎎
エゾウコギ15~30㎎


これで治ったも同然とは言わないが(笑)。しないよりはるかに良い人がきっといるはずだ。抗うつ剤系ではアナフラニールかデプロメールである。これはどちらが良いか人による。

バッチフラワーではあんがいスターオブベツレヘムなどが良いかもしれないと思う(あまり試みた事がないので自信なし)

まだ、このエントリでは触れていないが、もっとすごいウルトラC級の方法があるのである。(アスペルガーと内因性の正体のエントリで触れるつもりだが、今のところまだその予定はない。)

今日のまとめ
線維筋痛症の人、健闘を祈る。