リウマチの人は統合失調症になりにくいという謎 | kyupinの日記 気が向けば更新

リウマチの人は統合失調症になりにくいという謎

これについてはあまり真剣に考えたことはないので、エントリも雑感風に。

一般に「リウマチの人は統合失調症になりにくい」と言われるが、この言い方は実はおかしい。なぜなら、統合失調症は思春期から30歳以下で発病することが多いのに比べ、リウマチは30歳から50歳台で発病する疾患だから。時間的な点を考慮すれば逆になっている。

正確に言えば、
統合失調症を既に発病した人は、リウマチには極めてなりにくい。

と言うべきなんだろう。これは一般的に統合失調症の人は更に重い疾患になりにくい面があるので、リウマチもその1つだと言われると、それで終わりだ。(風邪などの小物には弱い)ここで言う重い疾患とは、自己免疫疾患や癌、脳腫瘍などである。

しかし癌は時々見るので「合併しないことが多い」くらいとしか言えない。慢性疾患でも糖尿病はよく合併するが、これは肥満などの薬物性のものも関与し、また疾患由来の面もあり、他の疾患とはちょっと違うとも言える。人にもよるが、ある種の必然があるからだ。

僕は今まで診ていた統合失調症の人で経過中にリウマチが発病したのを見たことがないので、ひょっとしたらありえないくらいの確率なのかもしれないと思う。ただ、リウマチは神経症~うつ状態はしばしば診る上に、時に2次妄想的になる人もいるので、ああいうのを操作的に統合失調症と診断されてしまうと、ワケがわからなくなる。この点で操作的診断法は真実を見ることにおいて、かえって邪魔になっている。

リウマチは種々の精神症状が出やすい上に、「リウマチ性格」と言うように性格変化も起こしうる。この点で他の内科、外科的慢性疾患に比べても別格だと思う。パーソナリティまで変化させるからだ。つまりリウマチは整形外科的疾患とは言え、精神(つまり脳)と関係が深いのである。

これはあくまで私見だが、リウマチは若い頃から何らかの免疫異常が既に発生しているから、統合失調症にならないような気がする。この考え方もワケがわからないと思うが、検査値の異常や関節症状が全然出ていないだけで、サイレントな状態でリウマチの萌芽のようなものが若い頃からあると言う意味。このリウマチの萌芽が脳をあらかじめ支配しているので、統合失調症に移行が難しくなっているのであろう。

そういう視点で見ると、
リウマチの人は統合失調症になりにくい。

という説は変ではないということになる。なぜなら、この考え方の方が他の疾患にも広く辻褄があうからである。僕は今までにその人の精神症状から自己免疫疾患の近未来の発症を予測して、その通りになったことが何回かある。