無医村 | kyupinの日記 気が向けば更新

無医村

これは還暦を過ぎたドクターの話だ。彼は外科医だったのだが、若い頃、とんでもない山奥の村立病院に派遣されたことがあった。まさに無医村に医師がやって来たと言ったところだ。

彼はまだ若造だったのだが、医者が来たというので、村長、助役などが出迎え、すぐに飲めや歌えの大宴会になったという。

まさに、スーパースターだったのである。

しかし、問題はここからである。当時、まだ画像診断や薬物などが発達しておらず、外科では開腹手術をするようになることが多かった。開けてみないと何が何やらわからない時代だったからである。まして設備的にも劣っている山奥の病院である。

当時、胃癌はもちろん潰瘍でも胃を切除していたので、まさに無医村が無胃村になるという事態になった。

若い外科医は、1つの無医村を無胃村にして一人前になるのであった。

この話は、笑っちゃいけないのであろうが、笑わざるを得ない話ではあった。