抗不安薬の処方状況 | kyupinの日記 気が向けば更新

抗不安薬の処方状況

現在の日本での抗不安薬はどのように処方されているのだろうか?

抗不安薬は精神科に限らず、他科でも処方されるので、統計的に結果が出たとしても、精神科だけの処方状況ははっきりわからない。また処方箋数と売上高の問題がある。例えばデパスなどは凄まじく安価なのに対し、メイラックスやセディールは高価だ。だから売上高ベースだと、メイラックスやセディールは相対的に割合を占めてくるのである。

その他、ジェネリックの問題がある。よく売れている抗不安薬で古いものは既にジェネリックと併売になっている。この場合、もちろん先発品の売り上げは下がる。だから先発品のみの統計だと、真の処方状況はわからないのである。これらのことを理解して統計を見てもらいたい。

処方箋数ベースの順位
1、 デパス      35(%)
2、 リーゼ      8
3、 ソラナックス   7
4、 セルシン     6
5、 メイラックス   5
6、 レキソタン    5
7、 その他


売り上げベースの順位
1、 デパス
2、 メイラックス
3、 ソラナックス
4、 セディール


これを見ると、いかにデパスが怪物商品かがわかる。デパスは既に多数のジェネリックも発売されているからである。デパスは個別のエントリでも書いたが、他科の医師が安易に処方しすぎると思う。うちの病院ではデパスはそこまで出ていないので、いかに精神科医以外が処方する薬かがわかる。

リーゼが2位に来ているのが意外だ。少なくともソラナックスよりは下に見えるのに。これも他科の医師が処方しているんだろうねぇ。効果的に弱い薬なので他科でも処方しやすいのだと思う。ちょっとばかり心気症的な人には良いし。あと、営業的なものもあるだろう。(デパスとリーゼは吉富薬品) こういう風に書いているが、リーゼ、デパスが悪い薬と言っているわけではない。僕はリーゼとセレナールはともに滅多に使わないが、使うならセレナールを使うことが多い。セパソンとか全く挙がっていないのがちょっと笑える。

個人的な感想をいえば、レキソタンとセルシンは健闘しているのではないかと。この2つはいかにも精神科の薬っぽいと思う。デパスに比べて存在感が違う。僕はあまりセルシンは使わないが、クリニックを開業している僕の友人は結構使っていると聞いた。レキソタンなどはわりあい強い薬なので、他科の医師には使い辛いのではないかと思う。

売り上げベースはあまり参考にならないが、さすがに高価なのでセディールが挙がって来ている。これなどはまず他科では使われないと思う。あまりにも不評すぎて。セディールはやはり精神科っぽい薬だ。