リーマスとリボトリール | kyupinの日記 気が向けば更新

リーマスとリボトリール

リボトリールは本来、抗てんかん薬であり、製薬会社の添付書にも「てんかん」以外の効能が書かれていない。だからレセプト的には「てんかん」以外には厳密には処方できないのである。しかしながら、近年では気分安定化薬の1つとしてかなり存在感のある薬物になってきた。気分安定化薬といえば、リーマス、デパケン、テグレトール、リボトリールの4剤が代表的薬物と言える。  

ところが、ここで重大な問題が出現したのである。

リーマスとリボトリールは躁うつ病の際に併用する場合がある。ここで、リーマスは躁うつ病、躁状態にしか適応がないため、レセプトにはこの診断名をつける他はない。同時にリボトリールはてんかんにしか適応がないので、これも「てんかん」と書くしかないのである。

ここで、レセプト的に大問題が生じる。リーマスは「てんかん」には禁忌なのである。

結局、レセプトをチェックするドクターに矛盾を発見されて、減点になってしまうのであった。最近はこういうパターンが多すぎる。リーマスは安価なので減点されたとしてもたいした損害にならないのだけど、真面目に診療しているのに腹立たしいでしょ。

もうエビデンスもあるし文献的にも支持されているのだから、リーマスにうつ状態の適応がないのがおかしい。あるいは、リボトリールも躁うつ病の適応があれば、こういう風にならない。

ちょっと思ったのだけど、こういう矛盾を指摘できるのは精神科医しかありえない。だって、内科医は直感的にはリーマスがてんかんに禁忌とは気がつかないだろうし。というか、レセプトはそのような否定的な面で普通はチェックはしないから。

きっと、そのチェックした精神科医は、躁うつ病にリボトリールを使ったことがないのだろう。だからこそ、このようなへぼいチェックをすると考えると矛盾がない。自分がそういう処方をしていれば、このような処方は大目にみられるのだ。この業界は。

なんで、こうもバカなんだろう。

参考
デパケンR