医学部の学費、書籍費 | kyupinの日記 気が向けば更新

医学部の学費、書籍費

医学部の学費や書籍費は、一般の人にあまりにも高く考えられていると思う。これは私立の医学部と混同されているのだろう。僕が在学当時、学費(授業料)がいくらだったか具体的に言ってしまうと歳がばれてしまうのだが、概ね当時の保育園の保育料と変わらなかった。 こんな風に言えばだいたいわかると思う。

僕が入学する前後は数年ごとにすごく学費が値上がりしていた。ちょっと前には恐ろしいほど安かったので、僕が在学当時は高いと思っていたが、僕の妹が入学した時には更に3割増しになっていた。それでも、妹の時ですら年間20万まではいっていない。(妹は同じ大学の薬学部で学費は医学部と変わらない) いったん入学年度の授業料が決まると6年間それが維持された。このルールは学生運動時代に「学費値上げ反対デモ」などの貢献によって固まったらしい。

僕の当時、私立大学では早稲田大学は卒業まで学費が一定だったが、慶応大学は「物価スライド制」と言われ、年々在学者も値上げが行われていた。当時の国立大学の入学金は学部にかかわらず12万か15万かそのくらいであった。

書籍代は親に嘘をつき、年間10万くらい必要と言い、余りをお小遣いに流用した。実際は3万~7万の範囲で済むのである。とんでもない子ではあった。なぜこの程度で済むかと言うと、当時は本は違法コピーで済ませていたからだ。ただそうもいかないものもあり、そんなのはもちろん買う。確か年間10万もかかったことはなかったような気がする。最近、ケーシーの白衣を買いに生協に行ったら、当時に比べすごく本が増えていることがわかった。あれだけ種類があれば、現代社会の医学生は特に専門課程に進めば年間10万くらいはかかるかもしれない。

とういうわけで、医学部の学費は一般に考えられている以上に激安だったのである。その後、国立大学の値上げが数年後とに行われ、今や授業料が50万を越えているというではないか。これは今の社会情勢からして値上がりしすぎていると言える。

だって僕の当時、缶コーラは既に100円していた。大学近くの定食屋が400~500円くらいだった。他の物価をみてもそう差がない。パチンコの玉は1球4円。週1回の家庭教師のアルバイトも月2万円だった。お昼に、友人とランチをしに行っていたフランス料理のレストランのランチが580円(アイスコーヒー付)。

今春、僕の患者さんの息子さんが僕の卒業した大学に合格したという(工学部)。ぜひ授業料免除の申請をするように言ったら、彼はそういう制度があることさえ知らなかった。

国立大学の授業料が異常な水準まで上がった理由は、私立大学との差がつき過ぎるとまずいので、そういう風に利権にかかわる国会議員が圧力をかけていたという話があった。だから値上げする代わりに、授業料免除と奨学金制度はわりあい充実していたのである。医学部の場合、申請さえすれば半免(半額免除)はかたいといわれていた。だから収入が少ない家庭の場合、もちろん全額免除になる。

僕の同級生で、全額免除の学生は2名だけいた。なんだかんだ言って、医学部の学生の親はお金持ちが多いのである。仕送りゼロの人は数名いたような気がする。そういう人は、アルバイトをして生活費を稼ぐのであるが、そのような人は授業料は最悪でも半免なので生活費だけ稼げば良いので困窮すると言うほどではない。それは楽ではないだろうけど。

そういうわけで、健康でさえあれば、お金がなくても医学部でもなんとかやっていけたのである。