薬物に対するプラスのイメージ | kyupinの日記 気が向けば更新

薬物に対するプラスのイメージ

薬物は脳に効果を及ぼすので、この薬が良いと言われても少し怖い。これは誰でもそうであろう。いつかこのブログでも触れたように、向精神薬は脳に効果を及ぼすものだし、しかも長期に服用するものなので、できるだけジェネリックは避けて正規品を服用するようにしましょう、などと言っていることからも、僕自身も同じようなイメージを抱いているのがわかる

(以上、ヤンセンファーマへのリップサービス)

普通、統合失調症、双極性障害、うつ病では薬を服用した方がどうみてもメリットが大きい場合が多い。この際に医師はともかく患者さん本人や家族はその薬の影響の奥行きがわかりにくく、漠然とした恐怖感を抱いていることがある。それに、案外、抗精神病薬も眠剤も胃薬も同列に考えている人もいる。だから怠薬しそうな人には、僕は、最低限これだけは服用するように言うこともある。薬が良い影響を与えていることを実感できる人もいる。そんな人はそうでない人よりはずいぶんと服薬指導が容易だ。たとえ統合失調症であったとしても。

結局、良い影響を実感できないにしても、「薬の悪いイメージ」を持っていなければ良いというところはある。薬は怖いものとか有害なものなどと思っているのでは、効果が十分には発揮できないような気がしている。それはプラセボと言えばそうなのだが。これはすごく良い薬であると思って服用すれば、必要量の半分か三分の一くらいでも十分だということは実際にある。

そういえば、バッチフラワーレメディは服用の前に、マイナスのイメージが飛んでいくようなおまじないをするようになっている。これが笑えるのであるが、まさに、「痛いの痛いの飛んでいけ~」という世界だと思う。つまり、バッチフラワーには自己暗示の側面もあるのである。僕のいつか紹介したウイローなどを服用している友人は、このおまじないを全然していないらしい。それでも効果があるようではあるけど。この人の場合、表情がとても改善したと感じる。今は、希死念慮もうつも全くないのだそうだ。バッチフラワーレメディは花のエッセンスなので、向精神薬に比べ気持的な敷居が低い。だから、服用する前のマイナスのイメージはおそらく少ない。バッチフラワーレメディは西洋薬より、プラセボ的には最初から優位に立っているのである。

西洋薬への信頼感は、主治医と良好な治療関係が保てているかどうかが大きく関係している。ずいぶん以前のことだが、前の病院を辞める頃、ある患者さんが突然、拒薬した。婦長さんが僕のところにやって来て、患者さんに服薬を勧めてくれという。僕は「僕が言ったとして、彼は服用しますかね?」と言った。本当にそう思ったのである。婦長さんによると、僕が勧めれば間違いなく彼は飲むという。そんなものなのかな?という感じだった。彼のベッドサイドに行き、僕が勧めると、最初はちょっと迷っていたようであるが、あっさりと服薬した。婦長さんは、「ほら、全然違いますよ」と言ったが、だいたい看護師さんの方が、患者に接している時間が長いのである。これはちょっと不思議なことではあった。

現在、服薬拒否の患者さんは時々出るが、僕が勧めるとわりあい飲むとは言える。うちの看護師さんは修行が足りないので、さんざん勧めて飲まないのに、僕が勧めてあっさり服用されると、なんだか悔しいのだと。修行と言うのは、「真心こめて」勧めること。勧める看護師が自分子供にだったら、おそらく飲まさないだろうと思えるような薬なら、たぶん思うように効かない。その治療に対し医師や看護師が疑念を持っていたら、効くものも効かないような気がしている。