うつ状態と料理 | kyupinの日記 気が向けば更新

うつ状態と料理

うつ病圏の治療では外来治療で決着がつく場合が多い。この確率は今も昔(SSRI以前)もあまり変わっていないのではないかと思う。

病状が悪く希死念慮が出てきたり、困惑~昏迷状態を呈してきて、外来ではどうにも治療が続けられない場合は、できれば入院治療した方が良い。入院治療すると会社や家庭から離れることができるので、「休養」と言う面で大きな違いがある。勤め人の場合、家庭療養だとなんとなく皆に「うつ病」という実感が伝わらず、家に居辛いということも実際にある。周囲の人には病気と言うリアリティが乏しいから。もともと、うつ病は休んでいるだけで徐々に良くなっていく面があるのである。

うつ病の人が入院治療を継続しているうちに、やがて良くなって外泊を試みるようになる。女性の場合だが、最初は家事では洗濯、掃除くらいはできたというのが多い。洗濯はできるけど、料理を作るのはまだきつかったとか。実は、料理はワンランク上なのである。

想像してみればわかるが、例えばカレーを作るなら、まずお出かけをする。買い物に行きジャガイモやにんじんを買ったり、あるいはカレールーを買わなくてはならない。頭の中で料理を作る流れみたいなものを想定して、それに沿った買い物をして準備していかないと、料理はできないのである。家に帰ってからも実際に作るわけで、もう少し仕事がある。単純な洗濯などに比べ難しい。

だから、外泊時に料理がちょっと戸惑ったとか、疲れたなどの感想があったなら、退院するにはもうちょっとかなと思う。

もちろん、そんな時に退院したらダメというわけではないんだけど。けっこう良くなってきていても、退院前はちょっとプレッシャーがかかるのか、不安感や抑うつが少しだけ悪化するところはある。ちょっと悪化しても十分やっていけるだけの精神的体力が備わっていないと、本人が辛いと思うのである。