精神症状とバウムテスト(後半) | kyupinの日記 気が向けば更新

精神症状とバウムテスト(後半)

バウムのことを書いた理由だが、カイゼルひげ氏の日記で以下のような文章を見たことによる。そのままコピペしている(本人にも了解を得た)。

オレは携帯でペチペチと日記を打つ。なかなか順番が回ってこない。12:00近くになってようやく診察。

①調子がいいのか悪いのか分からない
②セロクエルに切り替えたため、口渇・便秘はなくなった
③眠前にセロクエルを追加して欲しい
こんな感じの話をした。担当医の意見は下記の通り。


①とりあえず抗鬱剤は増やさずに経過観察しましょう
②それは良かったですね。しばらく様子を見ましょう
③150mgぐらい足してみましょう


最後にオヤジの話。「心理テストの結果、『統合失調症の可能性がある』と出たそうですが」とDr.に聞く。「あくまで心理テストの結果です。臨床の立場から言わせてもらいますと、まだ何なのか病名は分かりません。もうしばらく経過観察する必要があると思います」とDr.。

「統合失調症かどうか、定量的に計る方法はありませんか?」とのオヤジの質問に「ありません。お子さんには色々精神症状があるようですが、それに対しては対策を講じています」と担当医は答えた。

これを読んでちょっと笑ってしまった。親は、どうしても診断が気になるんでしょうねえ。「心理テストで統合失調症を診断する」いかにもありそうなのだけど、一般の人々にかなり誤解されているような気がした。統合失調症を診断できる心理検査法なんてない。よく考えてみれば、こういう検査で統合失調症の診断ができれば、それほど良いことはない。まあそういう風にしたかったのが操作的診断法なのであるが・・

結局、統合失調症は生物学的に疾患としてあるが、確実な証拠と言える検査所見がないのである。だったら、「統合失調症」自体がないのではないかと思う人もいるかもしれない。これも違う。

もうずっと前、僕が26歳頃だろうか、国立病院で働いていたことがあった。ある友人(彼も若かった。精神科になって1ヶ月目)が、「正常も統合失調症もないんじゃないか?」と言ったことがある。

僕は、
「それはない。なぜなら、世界の40%の人が統合失調症だったら、大変なことになるから。統合失調症の人は無治療の状態だと、顔を洗う、食事をするなど、日常生活の基本的なことができない。女性だと育児すらできない。こんな環境だと世界が正常に機能しないだろう。」

こんな変な例えであったが、皆けっこうわかってくれたのである。統合失調症は単に「変わり者」とは全く異なる、ある「精神疾患」なのである。

カイゼルひげ氏に、この時どんな検査をしたか聞いてみた。検査はロールシャッハだったらしい。ご苦労様です。主治医のこの場面での会話は父親へのリップサービスのようなものだと思う。本気にロールシャッハで診断しようとしているわけがないから。

それでもなお、「まだ何なのか病名は分かりません。もうしばらく経過観察する必要があると思います」という部分は意味不明。診察していれば、疑問はないと思うけど。統合失調症の場合、初診でそうか、そうじゃないかがほぼ決まり、その後、それになるってことは滅多にない。すごく若いなら話が違うけどね。

参考
2ちゃんねるのオフ会
プレコックス感
精神症状とバウムテスト(前半)