症状精神病 | kyupinの日記 気が向けば更新

症状精神病

身体的な疾患が背景にあり、それが主な原因で精神病状態を呈している場合、それを症状精神病と言う。症状精神病の原疾患は多岐にわたるが、よく知られているのは甲状腺機能亢進症、あるいは低下症によるもの、産褥におけるうつ状態などがある。身体的な原因による精神病は基本的に、基礎疾患を治療することが優先される。というのは基礎疾患を放置しているなら、個別の精神症状を治療しても仕方がないからだ。

症状精神病が活発なら抗精神病薬や抗うつ剤などがもちろん処方されるが、これはとりあえず症状を抑えるというスタンスで、根本治療をしているわけではない。精神症状が酷い時は、時に隔離しなくてはならないほどなので、抗精神病薬を処方して症状を緩和するのは当然の流れなのである。こんなところにも、精神科医療が基本的に対症療法であることがわかる。

古い患者さんで、例えば出産後に精神変調を来たし、その後長く入院して現在に至っている人がいる。この人たちは、当初は産褥期精神病なのか、あるいは統合失調症なのか区別がしにくかったと思われる。

こういう場合、どのように考えたら良いのだろう。
こんなケースはもともと統合失調症に親和性があり、産褥期にたまたまストレスがかかり、統合失調症が顕在化したとしか言いようがない。なぜなら産褥期が何十年も続くわけはないから。

非常に専門的になるが、産褥期精神病の幻覚妄想と、統合失調症の幻覚妄想とは微妙にクオリティが異なる。が、セオリー的にはそうだが、例外もあるので、それで絶対とは決められない。対人接触性なるもの、(似ている言葉では)プレコックス感と言う側面でもいくらか差がある。しかしながら、特に発病当初は統合失調症でもプレコックス感がはっきりしないこともあるのでそれだけで診断はできない。

プレコックス感なるもの、発病当初はさほど目立たず、病気の進行につれてはっきりしてくるように見える。統合失調症は、ある程度の期間診ないとはっきり診断できないもので、「今、これがあるから間違いなくそうだ」という指標がないのである。