パキシル、ジェイゾロフト、デプロメール | kyupinの日記 気が向けば更新

パキシル、ジェイゾロフト、デプロメール

この3つは現在、日本で処方できるSSRIである。デプロメール(ルボックス)は最も早く発売されたが、パキシルの発売以後、売上高で抜かれてしまった。現在はどうかというと、デプロメールも少しずつ売り上げを伸ばしているらしい。ジェイゾロフトもぼちぼち処方は増えていると思うが、まだ採用になっていない病院もあると思われるので、処方件数は少ないと思われる。


パキシル、ジェイゾロフトは劇薬に指定されているのに比べ、デプロメールは指定されていない。パキシルは疾患名により上限が定められており、最高は50mgとされている(強迫性障害の場合) また、ジェイゾロフトは100mgまでとされている。この2つはこの最高量の範囲内で処方しなければならない。ところがデプロメールは最高量は150mgだが、適宜増減できるように書かれているため、実質的に300mgまで処方可能なのである。このあたりはレセプトで説明も必要であろうが、上限のシバリが上記2つの薬物よりいくらか緩和されていると言える。この裁量ができる理由は、劇薬に指定されていないことが大きいと思うのである。


時々出てくるのはデプロメールとジェイゾロフトの使い分け。デプロメールは300mgまで処方可能なので、もし300mg処方するなら、ジェイゾロフト100mgに比べ抗うつ効果は上回るのではないかという人もいる。そんな風に言う人は、デプロメールの方が、ジェイゾロフトより治療可能範囲が広いと考えているのである。本来、SSRIは用量依存性がやや薄いところがあるが、デプロメールはわりと用量に依存する方なのだという。また、SSRIの換算比ではデプロメール対パキシルが5:1という資料もある。この比が正しいなら、デプロメール300mgはパキシル60mgに相当することになる。僕は、そんな風な考え方はちょっとどうかと思うし、300mgまで処方してもデプロメールにはそれなりの限界点があるような気がしている。


最近、僕は300mg処方していた過食症を伴う強迫性障害の患者さんで、思い切ってジェイゾロフト75mgに変更してみた。結果だけど、デプロメールのときに比べうつ状態に関してはずっと良い。朝が動けなかったのが、かなり改善したのだ。(パキシルは情緒不安定になり不適だった) パキシルは体重増加に関しては、やや弱いというかデメリットがあるので、そういう点を考慮するなら、デプロメールやジェイゾロフトが優るとも言える。SSRIは機会があったら一度見ておくと良いが、それぞれ、構造式的に全然似ていない。僕は、SSRIにより特性が違うので、症状や人により合わせて使えばよいと言う感覚なのである。