メラトニン | kyupinの日記 気が向けば更新

メラトニン

まず、メラトニンは睡眠薬ではない。松果体に由来するメラトニンの元祖の適応は、(あまり正確ではないかもしれないが・・)


Treatment of circadian rhythm sleep disorders in blind people who have no light perception.


だったように思う。近年は医療的には「睡眠相後退症候群」などの特殊な睡眠障害に使用する。(が、正式には認可されていない) アメリカではビタミン剤を買う感覚で簡単に薬局で買えるし、安価なのでけっこう利用されている。アメリカでは向精神薬全般が高価なことも関係あるだろう。 しかしあまりに使われるので、使用するにしても量が多いのでは?という指摘もある。本来の効果を考えると、jet lag (時差ぼけ)やshift work(看護師さんなどの3交替の仕事)の不眠に1mg~2mgぐらい服用すれば、QOLが上がるのでは?と言われている。 なお、市販のものは1mg錠か3mg錠が多い。他の剤型もあるかもしれないが僕は詳しくない。


10年以上前には「牛の脳から作られた天然のメラトニンは狂牛病の発症の恐れあり」などの記載が書物にあった。ただし、記載の続きの説明に「アメリカでは狂牛病が出ていないので、安全と思われる」と書かれていたのである。その後、社会情勢が変わり、今はどうなっているのだろうか? 個人的には、現在は遺伝子工学的な方法で人工的に作られているのではないかと思うが、実際、メラトニンのプラボトルを見ても、その製品がどういう素性なのかさっぱり書いていない。たぶん一般の薬局のメラトニンなんて、他のビタミンやサプリと同じくジェネリックで、そんな説明も簡略化されているのだろう。善意に見れば、なにしろアメリカは訴訟社会なので、たぶん人工のメラトニンと思われるが、証拠はない。あと、アメリカでの薬局での売れ方を見ると、概ねアメリカ人もメラトニンは安全な薬と考えていると思われるのである。


日本でも認可はされていないが、睡眠外来などで簡単に処方されているのに僕はよく遭遇する。大学病院などの小児科でも処方されていたりするのだ。そのくらい使われているなら、さっさと認可すればよいのに、という僕の感想。きっと旭化成や東レくらいが作れば、安全で品質が良いものができるだろうと思う。このメラトニンだが、睡眠薬ではないが服用すると少し眠い。たぶんベンゾジアゼピン系の眠剤を服用中の人は、いまいち服用した感覚がないのではないかと思われる。良い点は、かなり遅くなった時に服用しても大丈夫なこと。例えば、午前4時頃までおきていて、朝出勤までに少しだけでも眠りたい時に適切な薬なんて全然ないでしょ。こんな時にメラトニンは比較的マシなのである。僕は常用している薬はないが、本か何か読んでいて頭が冴えて眠れず、しかももう午前4時近いときは仕方なくメラトニンを服用することがある(年に3回くらい)。でも、僕は薬に弱いので、これでも朝少し残る感じになる。が、おそらく例えばマイスリーとかハルシオンだとそれどころではないと思う。


早い時間でたまに眠れない時はリスミーの1mgを飲むことがある(年に2回くらい)。僕は、リスミーはあまり患者さんには処方しないのだが自分は服用する。なぜリスミーなのかと言うと、これしか自分に合うのがなかったから。ハルシオンとかレンドルミンは全然ダメ。患者さんに処方しないのは、リスミーは効かないという訴えが患者さんに多くあまりに不評だからで、他に特に意味はない。少なくとも、自分がたまに服用しているからと言って、じゃんじゃん処方するよりよほどマシと思うのである。そんなわけで、僕がもし狂牛病で死んだら、殉職したと思ってください。