アモキサン | kyupinの日記 気が向けば更新

アモキサン

一般名;アモキサピン

1981年に発売された第二世代の3環系抗うつ剤。3環系にしては副作用がきつくないし、ルジオミールと同じ年に発売されたこともあり4環系のようなイメージがある。実はルジオミール、アンプリット、アモキサンは同じ1981年に発売されている。剤型は、10mg、25mg、50mg、細粒があるが、カプセルだけで錠剤はない。武田薬品工業から発売されている。ジェネリックはないと思うが、僕は詳しくない。このカプセルだが、10mgは全体がピンク、25mgがピンクと白のツートン、50mgは白と色が分けてあり間違いにくくなっている。効能・効果は、うつ状態、うつ病。用量は25mg~最高300mgまで処方可能だが、150mgくらいまでで使われることが多いと思われる。アモキサンは、効果の出現がなぜか他の3環系抗うつ剤よりも早く、効果の程度も比較的強く、効果と副作用のバランスが良い。過去、SSRIが発売される前には、アモキサンとルジオミールが最も多く処方されていた。これについては、2006年7月13日の「アモキサンとルジオミール」という項に詳しいのでぜひ参照してほしい。


抗うつ剤は、一般にノルアドレナリンかセロトニンのどちらかの再取り込み阻害が強いという特性があり(一方の阻害作用が全くないものは稀)、稀に双方の阻害作用が強い薬物もある。旧来の薬物は、ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用が強いものが多い。(アナフラニールはセロトニンに対する作用が強い) アモキサンはノルアドレナリンの再取り込み阻害作用の方が強く、代謝物、7-OH体、8-OH体は抗うつ薬活性を持つ。薬物代謝酵素は不明である。副作用はコリン系の副作用が比較的みられる。これは、口渇、便秘、循環器系に対するものである。ちょっと面白いのは、代謝物の8-OH体に、ドパミンD2受容体遮断作用が強いこと。だから、大量に処方した場合、あたかもメジャートランキライザーを併用しているように見えるはずであること。はずであると書いたのは、僕はアモキサンを使った経験が多いのだが、そんな感触があまりないから。薬価は安く10mgに関しては8円もしない。50mgでも27円弱なので150mg処方しても100円もかからない。たまにパキシル40mg、トレドミン100mgみたいな処方で全然良くならない人に、アモキサン100mgで軽快したりすると、あれは何だったんだ、という感じになる。治療は値段ではないのが良くわかる。


ところで、SSRI以前はルジオミールかアモキサンで治療されることが多かった。この2つの薬物はともにノルアドレナリン再取り込み阻害作用が優位で、ほとんどの人がノルアドレナリン系作用の薬物で治療されていた。現代社会ではSSRI全盛なので、セロトニン再取り込み阻害作用の薬物ばかり処方されていることになる。今と昔では大きなギャップがあるのである。