サルバドール・ダリ | kyupinの日記 気が向けば更新

サルバドール・ダリ

dali

先日、親戚の子が精神的に具合が悪くなって電話をかけてきた。もう精神科クリニックにかかっているというし、パキシルが処方されていたので、しばらく様子をみたらと伝えた。最初の治療としては全然普通だし、どこでもあまり差がないと思う。ただ、どうしても悪いようなら相談するように言っておいた。僕の親戚の中で(嫁さんの親戚も含め)医師は僕1人で、こういう職種柄、貢献する機会が少ないこともある。唯一の懸念は、その子の住む県は基本的にスジが相当悪いので、もしパキシルでうまく行かなかった場合、良くならないという可能性もあること。果たして、約1ヶ月程でもう悪くて仕方がないと言って電話がかかってきた。家にいてもどうにも悪いので、入院させてほしいと。結局、県外からうちの病院まで来た。


その子が最も驚いたのは、うちの病院があまりにもきれいなこと。病院と言うより美術館か図書館のように見える。芸術系の人が設計したのもある。普通の精神科病院は外から見ると、小学校のように見えることが多いんだな。特に1階フロアは、僕もサルバドール・ダリやマルク・シャガールのリトグラフを数枚協賛している。うちの病院に来た時、パキシルとトレドミンの黄金コンビで治療されていた。(アモキサンとルジオミールの項参照) 普通、パキシルでダメだった時点でトレドミンを追加ないし変更してもうまくはいかないことが多い。トレドミンはパキシルに比べすごくパワーがあるというわけではないから。パキシルが蕁麻疹などで使えなくて変更ならまだ話がわかるけどね。パキシルは効果が出るのが遅いので、さんざん待たせた挙句、効果がないと患者さんは失望する。時間がかかるのが悪い点だと思う。


うちの病院に来た日から、アナフラニールを点滴しアモキサンを内服で処方した。個室がたまたま空いていたのが良かった。普通、内服と点滴の抗うつ剤は一致する方が良いが、今回は最終的にアモキサンを使いたかったのでこうした。帰るときは、アモキサン単剤で処方したかったのもある。この組み合わせと抗不安薬でデパスを処方した。すると、効果はあるがすごく眠がった。普通、この組み合わせだとデパスがもっとも疑わしい。デパスは慣れないと眠いが、これほど眠がる人も少ないと思った。デパスをこんな風に処方することは僕は少ないのだが、最初にデパスだと精神的に楽になることもあるので、これを選んだのである。結局、眠いと困るのでメイラックス変更したら、あっというまに眠さが消失した。結局、うちの病院にいた期間は3日。普通、これほど短期間に良くなるわけはないのだが、本人がかなり楽になったし、帰りたいというので帰した。1~2週間して、どうも調子がいまいちで、しかも顔がなんだか赤い感じだという。こういうのは早く言わないと。これは副作用である可能性が高いが、患者さんから見るとピンと来ないみたいだね。浮腫なども本質的には薬疹(中毒疹)と変わりがなく、変更したほうが良い。ただ、こういうのは痒みがないので深刻さがないらしい。精神面も調子がいまいちというのもあり、アンプリットに変更した。僕はこういう順序の変更はしないのだが、今回の場合、トリプタノールとかルジオミールだと、かなり眠がりそうでしょ。それが大きな理由。その後の連絡によると、今は調子が良いんだという。

(上の画像は上野の森美術館のサルバドール・ダリ展のポスター)