エビリファイ(その7) | kyupinの日記 気が向けば更新

エビリファイ(その7)

エビリファイはその後もボチボチ使っているけど、相当に重い患者さんの病状を改善することがあることに気付いた。精神科病院には昭和40年~50年頃から入院し続けている患者さんがいる。病名は統合失調症である。どうにもこうにもならなかった人たちが、エビリファイで少し良いことがあるのである。病棟での大声や空笑が減少したり、あるいは、日頃の表情が以前より和やかになったりする。そんな風にうまくいく薬物がなかったので、本当に素晴らしいと思う。特に最近の非定型抗精神病薬でも悪化か無効だったので万策尽きた感じだったからだ。


統合失調症で長く入院生活を送っている人たちの中で、病気が徐々に進行して今は荒廃していると言ってよい人がいる。僕は近年の精神科治療の進歩を考慮すれば、今の若い統合失調症の患者さんはこんな風にはならないと思っていた。しかし、精神医療は過去の治療に比べかなり進歩しているものの、運が悪いとこうなりかねない場合もあることを最近知った。統合失調症で、環境次第できちんとした医療を受けていないケースなどがたまにあるからだ。ひとつが家族が精神科治療を受けさせない場合。あるいは病院には行くが、変な治療ばかり受けていて悪い状態が続きすぎている場合などである。精神科の専門でもないのに、精神科の標榜はするなと言いたい。


あと勝手に薬を飲まなくなる人も悪い。これは病気の軽い重いとは違う次元だ。もし自分に合う薬があるのに、それを全く飲まなかったのなら、江戸時代に生まれたのと変わらないと思う。一部の患者さんの家族に精神科の医療を受けるとかえって悪いと思っている人がマジに存在する。そういうこともあるので、必ずしも全てが本人の責任ではない。日本の精神科治療レベル(統合失調症やうつ病)は概ね世界で最高レベルであることを知っておいてほしい。精神科薬は高価なので、そんな良い薬が飲むに飲めない国の人たちも多いのである。