ソラナックス | kyupinの日記 気が向けば更新

ソラナックス

一般名;アルプラゾラム

(=コンスタン、武田薬品工業)

中間型の抗不安薬。半減期約14時間。薬物代謝酵素はCYP3A4関与しており活性代謝物を持つ。ソラナックスは1984年の発売で、ベンゾジアゼピン系の薬物としてはこれでも新しい方に入る。アップジョンの商品だが、日本ではファイザーが扱っている。アップジョンと言えば、ハルシオンとソラナックスが有名で、抗うつ剤のデジレルなどもそうである。(ファイザーが扱う) 剤型は、日本では0.4mgと0.8mgがあり、ともに白色の錠剤だが、0.4mgのみ楕円形の錠剤になっている。日本では、最高投与量は2.4mgとされている。薬価は0.4mgで11円くらいと現在ではかなり安い。ジェネリックもかなり種類があり、この半額くらいであろうと思われる。日本での効能・効果だが、心身症における身体症候ならびに不安、緊張、抑うつ、睡眠障害となっているが、神経症全般およびうつ病、統合失調症などにも広く使われている。


もともと発売された当時は、パニック障害に効果が高いというのがウリであった。現在ならパニックといえばSSRIだが、当時はソラナックスだったのである。もちろん現在でもパニック障害にソラナックスはけっこう処方されている。ソラナックスはSSRIに比べ即効性があるからである。ソラナックスの抗不安、鎮静作用はジアゼパム(セルシン、ホリゾン)よりも強力だが、筋弛緩作用の副作用は小さい。良くみられる副作用は眠さ(4~5%程度)であるが、飲みなれるとそれほどではない。アメリカでの効能・効果は、不安、パニック障害、広場恐怖、うつ状態、月経前緊張症。ただ用量的には、疾患名にもよるが最高8mg程度まで処方できるようである。


ソラナックスが発売されたのは僕が卒業する前なのだが、まだ精神科医になったばかりの頃、パニック障害とソラナックスについて福岡で講演があり聞きに行ったことがあった。たしかピショー先生というフランス人が講演していた。講演はもちろんフランス語だったのだが、その通訳をやはり普通の精神科医がやっていた。精神科医は基本的に変わった人が多いのだが、このフランス人の講演会で通訳が務められるのは、素晴らしいと言えた。確か、パニック障害にソラナックスを使用する場合、効果が不足したらどんどん増やしていけばよいくらいの内容だった記憶ある。7.2mgとかw 後に僕も7mg程度処方したことがあったが、これって減点になるのよね。それに日本人にその程度の量を処方すると、まあ人にもよるけど非常に眠いし、運が悪いと変な事故につながりかねない。高用量のソラナックスなんて、非現実的なのである。


実は外資系の学術講演には、こういうノリが多い。まったく目に余るというか、もう少しモラルみたいなものがあっても良いのではないかと。近年ではジプレキサがイーライリリーから発売されているが、その学術講演でかなりの高用量の治療を推奨するような内容のものがみられる。40mg、50mgも使えばそりゃ良い場合もあろうが、日本の場合、ほとんどすべてが保険診療なので、そんな風に使ったら減点の山になるって。日本でできないことを営業で(間接的に)薦めるって・・ 単にたくさん売れればよいというか、まさに売り上げ至上主義と言えよう。ジプレキサの場合、薬自体は不世出といえるほど優秀なので、変な営業をして心証を悪くするより、むしろ放っておいた方が良いくらいw


話が少し逸れたが、ソラナックスはパニック発作を抑える抗不安薬として現在でも存在感が大きい薬物なのである。