外来の電撃療法(その2) | kyupinの日記 気が向けば更新

外来の電撃療法(その2)

今日は、先日電撃療法をキャンセルした人が来院。あまりにもあっけなく終了。実施前に、本人に調子はどうかと聞くと、だいぶん良くなってるけどもう少しなどと言う。表情だけだと、1回でかなり良くなっているようには見える。それでもすこぶる良いわけではなさそうなので、もう1回実施することした。今日みたいに曖昧というか、もう1回するかどうか迷うような状況だと、前回のように安全にあっさり実施できていることで決断しやすい面はある。

電撃療法の時に、けいれんの出現のしかた、その酷さ、時間、呼吸停止の時間などにかなり個人差がある。呼吸停止が1分を超えると、こっちが心配になる。けいれんの時に、呼吸が戻りにくい人がいるんだな。そんなところは麻酔下の電撃療法の安全な点ではある。3日後にもう一度来院するように伝えた。

昨年末、知人が夫を連れて来院したことがあった。その時のうつ状態の程度はかなり酷かったので、すぐ入院するか、電撃療法をするしかないような状況だった。ちょっと驚いたのは、その知人に入院しないなら電撃療法しかないし、もししなければ危険だと話したら、ぜひしてくださいと言ったこと。本人も説明したら、同意されて即日実施。結局、1回でかなり良くなり、その後はアモキサン、トリプタノールなどで治療を続けている。電撃療法は計3回実施したが、連続でしたわけではなかった。その人、あれほど酷かったのにもかかわらず、ほとんど仕事は休んでいない。業務上の注意として、今年前半、海外出張は絶対しないように伝えていた。今なら国内の出張はできそうな感じ。現在、服薬しているがほぼ軽快している。こんな状況でも、将来的にまた電撃療法が必要な場面はありそうな気がしている。

電撃療法は、魔法のようにそれで完治するわけではなく、結局は薬物療法が必要なことが多い。たまに1回で劇的に効き、その後普通にすごしていて、数年後、再発し電撃療法をするようになる人もいる。こんな人は来院しなくなるからだ。その数年間、服薬なしで良かったらしい。服薬なしのインターバルが8年間の人がいる。こういう人は、そんなタイプなんだと思う。

一般的には、どうしても電撃療法をしないと危険と思われる状態でやって来てその時に実施するが、薬物療法が定着しその後はしないで済む人が圧倒的に多い。たまになかなか回復せず周期的に電撃療法をせざるを得ない人も過去にいた。1人だけね。ところが、この人、あれこれ薬物療法を変更しているうちに、ある時、遂に電撃療法から脱却した。今は約1年半ほどしていない。それまで2年間くらい2ヶ月ごとに実施していた。かなり良くなっているけど、今まで大変だった。家族も大変だろうけど、こっちも大変だ。

(これは8月26日の日記の続きになります。参照して下さい)