テトラミド | kyupinの日記 気が向けば更新

テトラミド

一般名;塩酸ミアンセリン

テトラミドの剤型は10mg、30mg。血中半減期は18時間ぐらい。現在、テトラミドで治療されている患者さんはどのくらいいるのだろうか? SSRIの発売で処方数は相当に少なくなっていると思う。テトラミド、ルジオミールは4環系抗うつ剤と呼ばれ、いわゆる第2世代の抗うつ剤だった。当時、旧来の抗うつ剤と比べ口渇や尿閉などのコリン系の副作用が少なかった。しかし、H1受容体やα2受容体の遮断作用も持つことから、眠さの副作用がみられる。当時、トリプタノールやルジオミールに比べ、抗うつ効果が落ちるような感覚があるため、第一選択としてはあまり処方しなかった。しかし、テトラミドはその後発売されたもうちょっと効果がはっきりしない抗うつ剤(テシプールやレスリン) よりはまだ効果があった。テトラミドは60mg以下の用量で処方するように推奨されていたが、70~90mgくらいで処方するとけっこう手ごたえがあったのである。結局、テトラミドはこの用量の目安が敗因だったと言える。抗うつ剤は外来では用量を超えて処方したくはない。入院ならまだしも・・

一度、ルジオミールでけいれん発作が出て、なおかつその際に上腕を骨折した患者さんに対し、テトラミドに変更してその後経過が良かった記憶がある。まあこれはルジオミールでほぼ寛解していたので、テトラミドでも維持には問題がなかったともいえた。テトラミドはとても良い点をひとつだけ持っていた。それは緑内障の患者さんにも禁忌でないことである。抗うつ剤で緑内障に禁忌でない抗うつ剤は当時これしかなかった。緑内障のおばあさんにテトラミドで治療し軽快したことがある。

テトラミドは、従来型の抗うつ剤とちょっと変わったメカニズムで抗うつ効果を発揮する。テトラミドは、モノアミンの再取り込み作用を持たず、シナプス前α2受容体遮断作用を持つ。一般に、シナプスα2受容体はオート・レセプターと呼ばれ、これは神経終末からのノルアドレナリン放出を抑制しているため、その受容体を遮断することによりノルアドレナリン放出を促すのである。つまり再取り込みとは違った方法で、ノルアドレナリンを増加させる。薬物代謝酵素は、CYP2D6、CYP1A2が関与している。併用禁忌は、MAO阻害薬を投与中の患者のみ。テトラミドは鎮静的な抗うつ剤であり、一時、老人などのせん妄、不眠にわりと処方された時期があった。しかし、これも最近ではセロクエルなどにとって替わられたかもしれない。テトラミドでも、老人には少ない量でさえ副作用はわりと出るのである。  

⇒ ミルタザピンを参照