SAMe | kyupinの日記 気が向けば更新

SAMe

S-adenosylmethionine


非常に興味深い薬物。この薬物の主な適応は関節炎とうつ病である。他に肝臓病などにも使われる。SAMeは人体のほとんど全ての細胞に見られ、様々な生化学反応における共同因子として働き、 軟骨の維持や脳神経伝達物質などの生成に不可欠である。SAMeは通常体内で十分に生成されるが、関節炎やうつ病などの状態にある人ではSAMeのレベルが低くなっている。 また、人体の老化現象としてSAMeが減少していくことがわかっている。


SAMeは1952年にイタリアで発見された。最初、うつ病の治療薬として試みられたが、その際、偶然に関節炎も改善することに気付かれた。SAMeはイタリアの医師によりうつ病の治療の最初の段階で使用されることがある。というのは、従来型の抗うつ剤に比べ効果の発現が早いからである。SAMeは高価なサプリメントで最高量使用した場合1ヶ月に3万円近くかかってしまう。だから現実的には従来の抗うつ剤の代用にはならない。


うつ病に対するSAMeのエビデンスについて
SAMeの抗うつに関しての最初の報告は1976年になされた。それから多くの報告があり、プラセボや従来型の抗うつ剤との比較がされている。概ね有効だったという報告が多いものの、厳密な意味でのエビデンスはないと考えられる。


安全性
人や動物実験などの報告では、SAMeはほぼ安全な薬物に見える。(服用時の胃部不快感、消化不良などの副作用がある程度)しかし直接的な胃に対するSAMeの有害作用はない。
SAMeは躁うつ病患者に使った場合、躁転を起こさせることがある。躁うつ病のうつ状態に使用する場合は注意を要す。子供、妊婦、肝・腎障害の患者に対する安全性は確立されていない。他、抗うつ剤で治療中の場合のSAMe服用は、主治医のアドバイスを十分聞くように注意喚起されている。(アメリカの場合) 個人的には、慢性疲労症候群や疲労が主症状のうつ病には(関節痛にも効果があることもあり)有効かもしれないと思う。


(これは2002年頃にウエブにアップしたものです)