遺伝子と疾病 | kyupinの日記 気が向けば更新

遺伝子と疾病

「すべての疾患が遺伝子に由来する」というのは、ちょっと極端な言い方だった。「すべての慢性疾患は、遺伝子に深く関係するものが大半である」というのが、ほぼ正しい書き方だと思った。なぜなら風邪などの疾病は、遺伝子とほぼ関係がないからだ。慢性疾患、例えば、糖尿病、痛風、アトピー性皮膚炎、統合失調症、胃潰瘍などは遺伝的に親和性が高い人々がいる。遺伝子に関しても、潜在的に発病しやすいといったようなかかわり方ではある。


例えば、一卵性双生児の場合、統合失調症の一致率は70%程度といわれる。ただ、別な親に育てられた場合は、少し違った確率になるため、この70%という数字はもちろん環境要因も含まれている。というのは、双子の場合、同一の親に育てられることが非常に多いためだ。偶然、違う親に育てられた場合、当然一致率は下がる。つまりこんな状況でさえ環境要因は大きい。皆は、この70%の数字は驚くような高確率に思われるかもしれないが、僕は30%が一致しないことにむしろ驚く。ほとんどが、同じ親に育てられるために、環境リスクもほとんど同じだからだ。


実は、この統合失調症の双子研究は詳しく研究されているジャンルであって、一卵性双生児でさえ、完全な遺伝子の一致は実現していないということがわかってきている。僕は、この研究者でもなんでもないので、いつか偶然調べた時のことのうろ覚えなんだが、双生児の胎盤からの血流にいろいろなパターンがあり、そこで感染が起こるためという。感染の際にイレギュラーが生じ、双子の遺伝子に相違が起こる。だから、胎盤から胎児につながる血管の微妙なアノマリー(どの時点で分岐するとか)により、一卵性双生児における統合失調症の一致率(上の70%)はバラつくのだ言われている。


つまりだ。神様は、完全に同じものを2つ作りたがらないのだろう。これは生物の進化について考えると、当然のことのように思われる。