さて始まりは中学生の時の、ブルマ姿。
体操着がブルマだったのですよ、黒の。
なんだかムフフな響きですが、そんなお話じゃありません。

あれは目立つんですよ。お腹が。

とにかく初めておかしいと思ったのは体育の時でした。
私だけ、お腹が、ポッコリ出てるんです。
太ってるわけでもないのに。手足はどちらかと言えば細い方ないのに

「なんでこんななわけさ・・・」

でも母親を見るとまったく同じポッコリお腹の体型なのです。
「まったく因果な遺伝に生まれちゃったものよね」
とダイエットにはげんでいたのでした。


その頃の私はといえば、健康優良児。
病院に行くのは、バスケットで捻挫したとかそんなくらいでした。
あとは年に1回風邪ひくくらい。

不眠症ではあったけど、遅刻もしなかったし運動も好きだったし、健康には全く問題ないと、思っていました。

でもどんなにダイエットをしてもお腹はへこむどころか大きくなっていくばかり。
なぜなのなぜなのダイエットが足りないの・・・。

おかしいと思いつつも健康には問題ないままごくごく普通に成長し、話は一気に高校3年生の夏休みに飛びます。


受験勉強とダイエットに忙しく過ごしていた夏休みのある日、ひどい下痢をしました。
出るものが出ちゃってもまだ痛い。
お腹を抱えてうんうん唸っていたら親も心配になったのか、病院へ行こうかということになりました。
日曜日だったので休日診療をしている病院をあちこち問い合わせて先生と連絡をとり。

そうこうしてるうちに、お腹が痛いのはケロッと治っちゃいました。

「でも病院には行くっていっちゃったからなぁ」
という訳のわからない理由で、とりあえず行くことになりました。何しにいくのかわからないですけど。


診察室に入った私を見るなり、先生が何気なく、ほんとうに何気なく言いました。

「あれ? お嬢さん、妊娠してるんですか?」

「え?」「はぁ?」「えぇ?」「えぇぇーー!!」

母親と先生と看護婦さんと、全員がこちらを見ました。私は必死で首を振りました。
もちろん「横」にです!

「そ、そんな。これはあの、ちょっと太ってるだけで、でへへ」
その頃には私はウエストゆるゆるの妊婦さんのような服ばかり着るようになっていたのでした。

イヤも応もなく検査室に連れ込まれました。
休日だから人も居ない薄暗い検査室の片隅。
お腹にべっとりと冷たいゼリーを塗られ、超音波検査なるものをされました。

その結果「妊娠と見間違えんばかりにむちゃくちゃ大きい卵巣のう腫」ということでした。

「お母さん、こんなになるまでなぜ気がつかなかったんですか!」

しかられる母はしどろもどろ。
「あの、でも私もお腹出てるし、遺伝かなと。あの、あ、あの、私もそうなのでは?」

母のお腹をムギュムギュもんでみる先生。きっぱりと言いました。
「あなたのはただの脂肪です!!」

はぁぁ、私のは腫瘍ですかぁ。なぁんだ、すっごい気にしてたのに。