19日の”演奏会&会食会”を、真っ先においとましたのは私だった。


いとも、あっさりと。


みんな名残惜しそうにしている中、あっさりと会場をあとにした。




定年退職して、最後に会社に出向いたときも、あっさりと会社をあとにしている。


あとから聞いた話だが、「あっさりと、何もなかったように、そして明日も来るような感じで、居なくなった!」と。




今回の演奏会も、傍目にはあっさり見えたらしい。


本人は複雑怪奇な心境であったが、傍目にはそう見えていた。





帰り際に、歌を歌い続けて皆勤賞の彼女がやって来て、自分から手を差し伸べてくれた。


硬い握手をして、暖かいぬくもりを感じて、自分の手が冷たいのを感じた瞬間だった。


それを見て、次から次へと送り人がやって来てくれる。


ひとりひとり握手をしたが、どの手も暖かい。


「オレは冷血動物だ!」と思った。





その中の一人は、3階から1階まで送りに下りてくれた。


「また、お会いできますように!」と。


外の空気は冷たい。


見送りは、暖かい。





ひとりで歩く線路沿いの道は、なんとなく心地よかった。


寒いけど心地よい。


寒いけど、暖かい。




「オレの手って、どうしてあんなに冷たいんだろう?」


そんなことを思い出しながら、心は暖かだった。





演奏の途中で、演奏を中断して来てくれた同胞に、最大限の感謝である。


「僕の冷えた手が、きみの首筋に噛みついてはじけた朝…」


「青い車」の歌詞が、頭をよぎった。






演奏会でずっと友達で居てくれたスピッツに感謝である。


これからも友達で居たいので、宜しく! スピッツ!!