AMドライブ、PMヤモリ。 | 境界線型録

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I Have A Pen. A Pen, A Pen Pen Pen.


 ついに月末。午前は家事手伝い、午後はタコ社長的自転車操業。
 車がガス欠寸前だし、天気も良いので、まずは油ショッピングに町をドライブ。

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 清々しい空気に排気ガスを撒き散らして走り心苦しいが、快適ドライブ。
 空の色を見ると、東京の排気ガスはだいぶ減ってきたのかも知れない。
 それでも排ガスは大量に撒き散らされる。私も撒くけど、走行は年間4000kmほどしかないので、少ない。排ガスよりも煙草の有毒ガスを撒き散らす方が多いかも知れない。
 町を元気にジョギングする人は、煙草の有毒ガスと排気ガスと、どちらを多く吸っているのだろう、とか思いつつルンルン走る。

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 ガソリンを満タンにして、上機嫌の帰路。
 町もそろそろ冬の色になってきた。道ばたの枯れ葉は、日々清掃され、美しい環境?を維持される。枯れ葉散り敷く道の方が美しいような気がするけれど、良識ある人々はアスファルトの方が好きなのかも知れない。雨で滑りにくいしぬかるまないので良いけれど、せめて歩道くらいは砂利敷きとか石畳とかにしてくれれば、もうちょっと歩きたくなるような気がするが。
 まあ、天気が良いから、良いけれど。

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 この町の赤信号は、車の往来も行き交う人もあまりないので、一人で渡ってもあまり怖くない。良識ある歩行者は、信号のないところを、左右の車の流れをしっかり確認してからトコトコと渡る。五メートルほどずれた位置にある信号付きの横断歩道は、赤信号だが、信号はないので別に道交法違反ではないだろう。あの手の信号をぜんぶ仕分けすると、どのくらい節電できるんだろう。

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 午後、隣町の銀行で諸々処理してから、お土産に東急ハンズでケータイデコシールを買って帰った。こちらは車だとかえって面倒なので徒歩と電車。尾根道をトコトコ行くと、午後の陰影が遊ばせてくれた。

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 金属素材のケータイにしたら塗装がちょこちょこ禿げて汚いので、ぜんぶ塗装を剥がしステンレス肌を剥きだしたらどうものっぺりして気持ち悪い。そこで家紋を入れるかとデコシールを探したが、うちは丸に州浜というマイナーもので、あまり市販されない。しかたなく他を探した。戦国武将関係が多く、ほんとにブームらしいなとびっくりした。
 どれにしようか悩んでいると、女子大生らしいお嬢さんがいつの間にか横にいて、どれにしようか悩んでいた。ふたりで右へ行き左へ行き、一生けんめい悩んだ。
 私がやっぱり蠍が良いかなと手にとると、お嬢さんがジロッと見る。あっ、しまった、蠍はお嬢さんが目をつけていたか、と慌てて戻し、髑髏に手を伸ばすと、またジロッと見た。悔しいのでお嬢さんが手にしたのをジロッと見てやると、蝶だった。ほう、蝶も厭らしい感じで悪くないなと思っていると、トカゲが目に止まった。いや、トカゲなのか、イモリなのかヤモリなのか判然としないが、もう探すのも飽きたし、私はヤモリ愛好家なのでこれで良いやと手を伸ばすと、お嬢さんもトカゲに手を伸ばした。
 「あっ」
 「あっ」
 あわや手を握り合いそうになり、慌てて手を引き、頬を染めた。
 「お先にどうぞ」
 「いえ、どうぞ、お先に」
 なんてのを繰り返すのも時間のムダなので、私は会釈しとっとと手にしてレジへ行った。去り際、お嬢さんをジロッと見ると、やはりトカゲを手にとって売り場を去った。650円のお買い上げ。
 あのお嬢さんと私のケータイは、おそろいになったのだろうか。

 家に帰り、娘に装い一新したケータイを自慢した。
 「なにそれっ、ヤンキー臭ッ。ダサー」との感想をいただいた。
 まあ、良い。私はヤモリ好きである。

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