共謀罪って?
「共謀罪法案」
という言葉を聞いたことがありますか?
これは、実際には何もしなくても、団体が「犯罪」の相談をしただけで罪に問う
という法案です。
「それって、犯罪なんかを計画する人を捕まえる法律でしょ?私たちには関係ないんじゃない?」そう思われる方も多いと思います。
でも、ここで言う「団体」は、犯罪組織に限られていません。
そのため、私たちが労働組合や宗教団体、会社やサークルなどの友人と話したことも、「犯罪」とされるおそれがあります。共謀罪の対象となる犯罪は600以上
もあります。
たとえば次のような身近な例もありえます。
・ご近所で、マンション建設反対のために座り込みの相談をすれば、 「威力業務妨害」の共謀罪の疑い*
・会社の税金を軽くする方法はないかと相談すれば、 「脱税」の共謀罪の疑い
・入会するまで人を帰さずにおこうとサークルで相談すれば、 「逮捕・監禁」の共謀罪の疑い
このような例が「共謀罪には当たらない」と読み取れる文面は、法案のどこにもありません。
ところで、警察は、団体が犯罪の相談をしたことをどうやって知るのでしょう。
法案には、自首を促す規定があり、それが密告の奨励につながりかねない
といわれています。けれども、自首を待つだけですむでしょうか。
おそらく、いままでは例外的にしか認められなかった電話やメール、会話の「盗聴・監視」が広く求められるでしょう。 わたしたちの日常生活が監視されることになるかもしれません。
また、相談をしたことがわかったとしても、どんなときに合意に達したといえるのでしょう。 条文にはその判断基準が示されていません。 これでは、判断は警察や裁判所の胸算用にゆだねられてしまうことになります。
政府は、国会での審議で、捜査方法についても、犯罪成立の判断基準についても、明確な答弁を避けています。それでいて、いったん「やる」と合意をしたら、あとで「やめる」と決めても共謀罪は成立する、というのです。
この法律が成立したら、ふつうの市民も共謀罪の疑いでいつ警察に捜査されるか
わかりません。人前で自由にものを言うことも、集まってなにかをすることも、安心してできなくなるかもしれません。
衆院法務委員会では、与党議員も含め、ほとんどの委員が法案に疑義
を投げかけています。法案は、国会内外の反対意見に押される形で、2005年秋の特別国会では成立せず継続審議になりましたが、2006年の通常国会では、法案の成立を目指し本格的な審議が予想されています。
この法案をこのまま通してしまっていいのか、ちょっと考えてみませんか?