北森鴻「孔雀狂想曲」 | 行雲流水的くっぞこ

北森鴻「孔雀狂想曲」

 古道具・古美術品をテーマにしたミステリーの連作短編集です。

 北森鴻「孔雀狂想曲」

 北森さんは昭和36(1961)年山口生まれ。1995年鮎川哲也賞、1999年日本推理作家協会賞受賞。2010年逝去。


 東京・下北沢の骨とう品屋「雅蘭堂(がらんどう)」の店主である、越名集治(こしな・しゅうじ)を主人公としたミステリーの連作短編集です。古美術・古道具に絡んだ色々な物事の謎が明らかになっていくというお話。


 骨とう品というと「なんでも鑑定団」みたいなテレビ番組でおなじみですけどね。

 骨とう品は元々値段が付いていないものに値段が付きます。人気が出ればそれにプレミアが付いたり、人気が無くなれば価値が暴落したり…この本を読んでいると、キツネとタヌキの化かし合いみたいな感じですかね~(笑)


 この本では「骨とう品」に付いて回るイメージ…古色蒼然とした感じというか、暗い感じはないんですよ。明るいというか風通しが良いというか。


 店主の越名は目利きなんですけど、商売がヘタでお店は閑古鳥が鳴いている状態。その越名と名コンビなのがアルバイトの女子校生の長坂安積(ながさか・あつみ)。ひょんなきっかけで越名と知り合って、「雅蘭堂」に押しかけて店番をやってるんですけど、越名とのやりとりがまるで漫才みたいで面白いです(笑)


 そんなユーモア漂う場面もありますが、お話自体はシリアスな場面もあったり、話の展開が二転三転と大どんでん返しがあったりと凝りまくってて気が抜けないです。


 北森さんはすでにお亡くなりになっていますが、本当に続編が読みたかった一冊です!