映画コラム 「色あせていく映画」 | 映画熱

映画コラム 「色あせていく映画」

以前にも書きましたが、映画には「賞味期限」があると思っています。

そもそも、「不朽の名作」なんて、存在しませんから。


作品というものは、時間が経てば、古くなっちゃうんです。

それは、仕方のないことなんです。



俺は、若い人たちには、こう言います。


昔の映画を無理して見なくていい。

可能な限り、「今の映画」を見て欲しい。



映画を好きになると、あらゆるジャンルを見たくなるものです。

アクションだけじゃなく、社会派ドラマや、恋愛、芸術、ホラー、ドキュメント。

サスペンス、コメディ、特撮、アニメーション、ショートムービー、いっぱいある~


映画って、毎年、どんどん作られていくんですよ。


去年公開された話題作、見に行けなかったから、DVDレンタルで見よう。

あ、レンタルに出た。でも新作は高いから、旧作になったら借りよう。

で、旧作になった頃には、見る気がなくなってしまっている…


こういうことって、よくあるんです。



俺が、劇場にこだわるのは、新鮮なうちに、いい状態で見たいから。

いい状態で見た映画の面白さを伝えたいし、書き残しておきたいから。


世の中には、お金持ちの人がたくさんいて、

『…オレの家の方が、映画館よりシステムがいい。』と豪語する人は、

映画に対して感じている魅力が、俺なんかとは全く違うんですよね。


セレブの人には、セレブな楽しみ方があっていいでしょう。

俺みたいな貧乏人には、俺にしかない楽しみ方があっていいはず。





映画は、人によって感じ方がまるで違うのです。

だから、面白いんです。



予告編を見ていると、わざとらしいコピーがたくさん。

まるで、「この映画はこう感じなさい」と命令されているみたいに感じてしまう。


感動しようが、ムカつこうが、個人の自由だっつーの。



名作と呼ばれる映画だから、感動しなくちゃ。

みんながいいという映画だから、感動しなくちゃ。

彼氏とデートで見る映画だから、感動したフリをしなくちゃ。



そんな「偏った見方」をしていたら、感性が育たない。



自分がどう感じたか。

自分がどう思うか。


そこが、大事なんです。



フェデリコ・フェリー二。

ジャン・リュック・ゴダール。

黒澤明。

ジョン・フォード。

アンドレイ・タルコフスキー。

スティーヴン・スピルバーグ。

スタンリー・キューブリック。

リュック・ベッソン。

宮崎駿。

三池崇史。



みんな、当たりがあれば、ハズレもあるんです。


何を作っても面白い、なんていう人はいない。


作り手にも色々いるし、見る側にも、色々あるから。


面白いものは面白いし、つまらないものはつまらない。

それで、いいんです。


ただ、そこで、考えて欲しい。

何故、面白いのか。

何故、つまらないのか。


そこを追求する思考力がある人の感性は、磨かれていく。

そこを突き詰めていくと、「自分の見方」が生まれる。



クラシックの名作を見ると、

何となく、褒めなきゃいけない雰囲気がある。


でも、そこは自信を持って、ダメ出ししていい。

その変わり、いいと思ったら、全力で褒めて欲しい。

自分が感動した理由を、自分の言葉で表現してみて欲しい。



でも、いくら感動しても、

その映画を、リアルタイムで劇場で見た人には、かなわない。



だから、若者に言うんです。


今の映画を、今しか見られないタイミングで、見ておけ。



どんなにくだらない映画でもいい。

今公開されている映画を、今の感覚で、劇場で見るのが、最高にオイシイ。


俺は、そんな風に考えるんですね。



俺にとって、去年の映画は、すでに「クラシック」なんです。


新作を見ても、一ヶ月経てば、すでに「旧作」なんです。



だから、俺が映画記事をブログにアップするのは、「今の映画」だけにしたい。


旬の映画を、旬の時期に見た感覚を、記録しておきたいから。



昔の映画を見るヒマがあるなら、今の映画を1本でも多く見たい。


DVDで見る映画は、俺にとっては、レンジでチンの、冷凍食品ですから。



新鮮な食材を、お店で調理してもらって食べるのが、一番うまい。

お土産にもらって、家に帰って食うのは、何かが違うもんでしょ。



だから、若者たちよ、今の映画を遠慮しないでどんどん見なさい。

クラシック映画の評価は、ジジイたちにまかせておきなさい。

同じような映画ばかり見て、飽きたら、たまに昔の映画をつまみ食いする程度でいい。



今の自分が見たいと思う映画を、見たいだけ見よ。


それが、感性を磨くための、大切な第一歩だから。