U-NOTE Ⅱ 「まだ不安定ですが」 | 映画熱

U-NOTE Ⅱ 「まだ不安定ですが」

この一週間はずっと、パソコンを開くことがほとんどできませんでした。


映画館に行けず、本も読めず、ブログも書けず…

好きだったことが手につかなくなるのは、うつの特徴の1つです。

これはやっぱり、再発したと思った方がいいような気がしますね。


幸い、仕事だけは何とか行けているので、生活は何とかなっています。

ただ、帰ってくるとバタンですが…


食事はちゃんと摂っているし、薬を飲んで眠れているので、今のところ大丈夫。

もうすぐ頓服薬がなくなるので、明日にでも病院に行こうかと思います。


この病気は、完治はなかなか難しいみたいで、たぶん一生モノなんでしょうね。

だましだまし、うまく付き合っていくしかないんでしょう。


先週の金曜日までは、ずっと超ネガティブ思考で、心は沈んでばかり。

ダメージが大きい分、心の傷口が深くて、なかなか塞がらなかったんだと思います。


今更ながら、己の心の脆さが情けなくなりますね…


きっと、世の中のほとんどの人は、こういう時、うまく立ち回って、

自分の立場が有利になるように行動できるんだと思います。


でも俺、不器用ですから。





金曜の夕方、珍しく上司から褒められたんです。


最近、肥育の状態がなかなか好調で、死亡も治療も少なく済んでいる。

増体がよくて、出荷時期が早まるので、経費節減に貢献している。

これは、豚舎の環境がいいということ。

こまめに肥育舎を周って、カーテンを調整していた効果が出た、ということ。


上司は時たま、抜き打ちで肥育舎に入って様子を見るんですが、

最近は、いつ入っても、ちょうどいい温度になっている、という印象だったそうな。


この調子で、これからもがんばって下さい、と言われました。



畜産業というのは、製造業の中でも特殊な部門で、

仕事のマニュアル化が難しいんだそうです。

思考よりも、感覚が大きく影響する仕事だから、ということらしい。

だから、教育スタイルは、農場の個性によってみんなバラバラなんですね。


上司も、この道20年のベテランなので、何でも知っていますが、

それを言葉に出して説明するのは、すごく困難なことみたい。


俺が悩んでいたのと同じか、それ以上に、上司も悩んでいたと思います。

どうやったら俺が理解できるように説明できるか、いつも考えていたそうです。


彼は、俺がそのうちイヤになってやめるんじゃないか、って思っていたらしい。

でも俺、やめなかったですね。

転職は何回もしたけど、仕事がイヤでやめたことは一度もありません。

だって、悔しいじゃないですか。

いずれやめることになったとしても、つまんない理由でやめたくない。

そこは、男のド根性ってやつですね。



「褒められる」ということは、「存在価値を認めてもらえる」ということ。

俺は、この職場にとって、重要な「戦力」になりつつあるみたいなんです。


それって、やっぱり、嬉しい。

がんばってきてよかった、って思える瞬間。



少しだけ、心が楽になりました。




土日は、映画館には行かず、家でDVDをダラダラ見ていました。

薬を飲んで、時たまうたた寝をしながら。



夜は、久しぶりに飲みに出ました。

友達は誘わずに、ひとり飲み。


うつに理解のあるスナックKに立ち寄って、ママさんと長話。

俺が療養している時に、何度も力づけてくれた、恩人。

元気になって社会復帰したことを、すごく喜んでくれた、心優しいおばちゃん。


20年以上通っている、スナックLにも顔を出しました。

バーテンの兄ちゃんは、俺より2つ下で、会話がいつも漫才になってしまいます。

彼のおかげで、久しぶりに大笑いさせてもらいました。

ママさんは2代目ですが、俺よりずっと年上のお姉さん。

彼女のリクエストで、シブい洋楽をカラオケで歌いまくりました。

この店は、未だにジュークボックスが置いてある、昭和の香りがする場所。

ここは、接客がしっかりしているので、俺的にはイチオシの店です。


安心して飲める場所があるのは、幸せなこと。




存在を、肯定してくれる人がいるのは、ありがたいこと。

自分を見失うと、そういう人がいることも、いつのまにか忘れてしまう。



俺は、危ういところで、「こちら側」に戻って来られました。

あのまま、心が暴走したら、とんでもない領域に踏み込んでしまうところでした。


「死ぬ理由」よりも「生きる理由」が多ければ、命を粗末にしたりはしないもの。

俺は、「どうすべきか」ばかり考えていて、「どうしたいか」を忘れていました。



豚たちが、気持ちよさそうに眠っている姿を眺めながら、

自分の「あるべき姿」について、俺は考えました。



まだ、終わりじゃない。

まだ、終わりにしちゃいけない。



まだ、不安定ですが、


とりあえず、今夜を生き抜こうと思います。

そして明日も、生き抜いてみようかと思います。