映画 「おとなのけんか」 | 映画熱

映画 「おとなのけんか」

子供の喧嘩に親が出て、夫婦喧嘩になって酒盛りに…何じゃこりゃ?



ロマン・ポランスキー監督のおっちゃんが、また面白い映画を作りました。

はっきり言って、笑えます~


原題は、「CARNAGE」。“大虐殺、殺戮”という意味です。

それがまた、なんでまたこんなショボいタイトルになっちゃったんだろう?


最近はどうも、イケてないタイトルの映画が多いですね(汗)

きっとこの映画も、お客あんまり来ないんだろうな…



で、内容ですが、


登場するのは、子供同士の喧嘩で、前歯を2本折る怪我をした男の子の両親と、

怪我をさせた方の両親。以上終わり。


子供は、申し訳程度に出てきますが、ほとんど全部この4人で展開します。

後は、電話をかけてくる母親くらいかな…



たった4人で、被害者の自宅が舞台で、ずっとそこにいるまま、映画が進行します。

じゃあ、退屈じゃないかって? いやいや、これがなかなか面白いんですよ。


最近は、モンスターペアレンツ(通称モンペ)なんて言葉が流行っていますが、

本作に登場するご両親は、いたって普通の人たち。


お互いに、穏やかに話し合いを進めるムードだったんですが、

ささいなことから口論になって、子供そっちのけのバトルを展開…



いやあ、これは、ちょっとした人情ブラックコメディですな。

たった4人で観客を惹き付けるのだから、そうそうたるメンバーが出演しています。


被害者の両親に、ジョン・C・ライリー&ジョディ・フォスター。

加害者の両親に、クリストフ・ヴァルツ&ケイト・ウィンスレット。


すげえ、豪華キャストじゃん!


これはもう、演技派の彼らのテンションに委ねましょう。

ノリノリで、楽しそうに演じています。


見応えありますよ~



ロマン・ポランスキー監督は、とても繊細な人なんだと思う。

彼の映画には、大人しい小心者がよく出てくる。


しかし、この映画は、小心者が大胆になっていく様子が、生き生きと描かれている。

観客は、その場にいるかのような、臨場感を味わえる。


彼らの体臭や、料理の匂いまで伝わってきそうな、生のリアル感。

彼らが動くと、空気が動いて、風が起きそうである。


何だか、劇場映画というより、舞台劇を見ているみたいだった。



親が慌てて騒いでいる間、当の子供たちはどうしているんでしょうね。

ウザい愛情でも、注げる人はすごいと思うし、子供は幸せなんですね。


今日もどこかで、子供のケンカ。


子供をネタにして、大人の憂さ晴らしが実行されているのだ…うっふっふ。





【作品データ】


監督:ロマン・ポランスキー 原作:ヤスミナ・レザ

脚本:ヤスミナ・レザ&ロマン・ポランスキー

撮影:パヴェル・エデルマン 音楽:アレクサンドル・デスプラ

出演:ジョディ・フォスター ケイト・ウィンスレット

    ジョン・C・ライリー クリストフ・ヴァルツ


 (2011年フランス・ドイツ・ポーランド合作 上映時間:79分)



※原題のアレは、喧嘩のネタとして登場します。

※DVDは、7月に発売予定です。