崖の上のポニョ | 映画熱

崖の上のポニョ

僕の彼女は人面魚?人魚?半魚人? …果たしてその実体は?


スタジオジブリ最新作。今回はディズニーにケンカ売ったとしか思えない題材。作られるべくして作られたのか、それは監督の心の中の秘密。


いつもながら、感心することがあります。スタジオジブリ製作のアニメーション映画を、ずっと劇場で見ているんですが、私語をする子供がほとんどいないという事実。難しい場面でも、水をうったようにしいんとしてしまうのは、やはり作品の力が大きいと思うんです。子供心ながらに、優れた作品のオーラを感じるのかもしれませんね。


監督・原作・脚本は宮崎駿。声の出演は、奈良柚莉愛、土井洋輝、山口智子、長島一茂、所ジョージ、天海祐希、吉行和子、奈良岡朋子、左時枝、矢野顕子、柊瑠美。


さて、映画ですが、軽~い感じに仕上がりました。サラッと見られるので、あっという間に終わります。小粒だけど、それなりに楽しい作品。小学生の女の子がちょうどいいターゲットかと思います。


思わず、片平なぎさと船越英一郎が登場しそうなタイトル。崖っぷちに追い詰められた魚怪物の運命は?近寄らないで、あたしなんか死んだ方がいいのよ!やめろ、キミの人生…いや魚生は始まったばかりだ、早まるんじゃない!止めないで、きゃあ…ドボン。あらら、魚だから溺れませんでした…ってそういう話じゃありませんので、早とちりしないようにご注意。(誰もしねーよ)


5歳の少年が、海岸で変な魚を発見。金魚かと思ったら、人面魚だった!どうする少年。これは僕が見つけたんだから僕のもんだ。誰にも渡すもんか!周囲の反対を押し切り、2人は逃避行。そして崖の上に追い詰められて…ってだからそういう話じゃないってば!


ポニョは、人面魚(メス)の名前。もともとはご立派な名前がありましたが、少年がポニョと名づけました(理由は劇場で確認してね)。で、少年が住んでいる家が崖の上にある。それだけのことです。俺なんか、すごい想像しちゃったから、画面見ながら他の事考えてました。ちくしょう、つまらん期待させやがって。ふん。


内容は、予告編と主題歌でかなりネタバレしていることもあって、ほぼ予想通りの展開。ただ、きれいにまとまりすぎかなあと。世の中こんな風にカンタンにいけばいいんだけどね。


本作は明らかに 「ファインディング・ニモ」 にケンカ売ってます。しかも、「リトル・マーメイド」 にもつながっている。事前に打ち合わせしたのか?たぶんしてないでしょう。ニモはキモいけど、一応ちゃんとした魚だった。でもポニョは思いっきり人間の顔がついている。最初に見た時は、およげたいやきくんかと思いました。


この映画、一歩間違うとホラー映画になってしまいそう。俺なんか、この後の展開を考えてしまいました。この調子でいくと、こうなってああなって…うわ、すごいことに!(何を考えているかはヒミツ)


先日見た鬼太郎と同様、子供の視点と大人の視点ってやっぱり違うんだなあって実感しています。だからこそ、子供は自分の感じ方を大切にすべきなんだと思う。こう言うと大人が喜ぶから、という優等生的な意見はどうでもいい。自分の目で見て、自分の心で感じたことを正直に出力してみることが大事。


家族であろうが友達であろうが彼氏であろうが、中身は違う人間なんだから。その違いを認め合うことからしか、本当の人間関係は作れない。違っているからこそ、人間は面白いのだ。だから、魚との恋もアリ。「天才バカボン」 のウナギイヌしかり。


子供には、子供の世界がある。映画の随所に、今どきの子供はしっかりしてるんだなあって思える場面がたくさん出てきます。よくも悪くも、子供は大人を見て育つ。子供が伸びようとしている時に、親はどうすべきか。そういう点も見どころだと思いますのでお見逃しなく。


娘が将来、どんな男を好きになるのかわからない。でも俺の子だから、変わった男であることは間違いない。思い通りにいかないのが人生だから、今から覚悟しておこう。ようし、魔物でも妖怪でも、何でも来やがれ!


ポーニョ、ポーニョ、ポニョ、魚の子。青い海からやって来た、何でもありの女の子。望めばかなう、夢も希望もふくらんで、まんまるお腹がチャーミング。メタボリックな女の子!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月20日 劇場:ワーナーマイカル県央 12:00の回 観客:約300人

娘と一緒に見ました。彼女の反応は、面白かったけど、ところどころ変だったそうです。


【上映時間とワンポイント】

1時間41分。最近は子供映画なのにやたらと長い作品が多いので、ちょっと助かりました。


【オススメ類似作品】


「パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」 (1973年東京ムービー)

監督:高畑勲。原案・脚本:宮崎駿。声の出演:杉山佳寿子。シリーズ第2作。本作を見て、この映画を思い出すファンは多いことでしょう。映画館に行った帰りに、レンタルビデオで探してみて下さい。ちなみに、カンフーパンダとは関係ありません。


「ファンタジア」 (1940年アメリカ)

監督:サミュエル・アームストロング他。クラシック音楽の演奏をバックに、ディズニーのアニメーションが展開する実験的作品。確か、チャイコフスキーの 「くるみ割り人形」 のパートで、金魚が登場する場面があった。その金魚の色っぽいこと!悩ましい流し目が今でも忘れられない。ちなみに 「ピノキオ」 に登場する金魚と同類である可能性も。でも、ファンタジア金魚の方が色気抜群!きっとポニョの仲間だと思う。


「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」 (現在公開中)

監督:本木克英。原作:水木しげる、出演:ウエンツ瑛士。この映画に登場する濡れ女は、もしかしたらポニョのかあちゃんかもしれない…って思うのは俺だけか?


「グエムル 漢江の怪物」 (2006年韓国)

監督・脚本:ポン・ジュノ、主演:ソン・ガンホ。魚が走って追いかけてくる映画といえば、やっぱりコレでしょう。タンノ君が実写になると、こんなにキモチワルイんですね。前半20分だけ面白いのでそこだけ見てやめましょう。ムチャクチャ笑えます。「殺人の追憶」 で世界的に評価があがったポン監督は、この珍作でバカ映画の巨匠になりました。