デザイナーがデザインしたとおりになっているかは... | kusuke-jpのアメブロ

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技術的じゃないビジネス寄りの内容はこっちのブログに書いてます。内輪ネタ多し。

少し昔を思い出してました。当時いた会社の制作物のデザインは、一時期ほぼすべて巨匠とよばれるベテランデザイナーがやってたのですが、ぼくはPMの立場でわりとぞんざいに扱っていました。

入社した頃はデザインセクションとシステムセクションが半々だったのですが、受注額に年々差が付いて行きいつしか人数比でエンジニア9に対しデザイナー1くらいまで減っていました。

そして経験の浅いPMであるぼくは、デザインの適正価格があまりみつもれず500万のiPhoneアプリ開発だと50万円くらいとか、価格比もそんな割合にしていました。UIデザインを頑張ると開発工数も連動して、あるいは数倍に跳ね上がることを知ってたので、案件が炎上しないようデザインにこだわったアプリを受注することを嫌ったのです。

そして受注した後僕は巨匠にこう言います。

「この案件、予算少ないんで雑なデザインでいいですよ」

しかし、巨匠はきっちり仕事をこなします。この予算のお客さんにはもったいない、価格相応の新人にやらせればよかったと変に後悔するほどに。なぜかは当時理解できなかったんですが、後に別のデザイナーさんが言っていた言葉にはっとさせられました。

「デザインのクオリティを下げることが楽な仕事ってわけじゃないんだ」と。

フリーハンドでまっすぐ線を引く事が当然のように身に付いている人に、「多少まっすぐじゃなくていいので安くしてください」と依頼するのと同じくらいナンセンスなんですね。うまく例えられないけど。

そういうのは逆に難しい、もちろんそういった仕事に特化して早くそこそこのクオリティであげることばかりやっているひとは違うかもしれない。小さな会社だったけど1流の企業からほめられるほどクオリティ高い仕事している巨匠レベルの人には、随分失礼なこと依頼したもんだとまず反省。




でもそれだけじゃないんです。もうひとつ。Webでもアプリでも、デジタル媒体というのは作ったデザインを切り刻んでエンジニアが部品にして再構成を行います。ところがその表側を司るエンジニアは、見た目へのこだわりがデザイナーほどない。

簡単に#1c1c31(超濃いグレー)だっていってるのに#000000(真っ黒)にしちゃう。1pxの線を引いてるのに付け忘れる、左端がぜんぶ余白7pxとってるのにばらばら。

もちろん、これだけマルチデバイスになっている以上、PSDと1pxのずれもなくこのGalaxyS4で再現してよっていうのも無理な話です。それでも、境界線の色使いや余白、縦のラインを揃えるといったデザインの全体イメージを決める部分まで疎かにされると「そうじゃないんだ」って言いたくなります。

僕はそれに関してもデザイン再チェックを通さずにAppStoreにだしたりしたこともありました。早く審査に出したい、プログラマーの感覚では「完成している」から少々見た目ずれてもいいじゃない。こういう理論です。

この2つの反省がすごく勉強になったなとここ半年くらいで何度も感じているのですが、じゃあそのデザインがデザイナーの意図したとおりであることは誰が尊重すべきかって話しなんですよね。

プログラマーが作ったものが、仕様通りでなければバグなので比較的誰でも指摘できるんだけど、「ここのインナーシャドウが4px長い!」とかって、よっぽどじゃないと気付かないんですよね。でもそういうのが積もると「なんかこの画面洗練されてないね、素人くさいね」というなんとなくの印象を与えてしまう結果となります。




ダラダラと書いておいて実は結論がないのですが(!)いまのところデザイナーが声を大にして主張し、プロダクトオーナーや顧客がその声を拾って尊重するというのが一番かなと思います。問題に気づけるのはやはり本職のデザイナーですから起点はそこにあるべきで、ただその問題点をどのように扱うかはビジネス成果と天秤にかけるべきと考えているので。

システムでも、ユーザに影響の少ない軽微な問題点だったら、おいおいあとで直すとかってありますしね。ただそれの大小が僕には判断しにくいんだなー。



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