くさまです。

 

今日の本会議で、全国で初めてとなる「横浜市官民データ活用推進条例」が民進、公明、無所属保守の会など、73名の議員により議員提案され、鈴木太郎政調会長からの趣旨説明の後、共産党、無所属ネットの議員の方からの質問に、提案者を代表して答弁させていただきました。

 

 

国の官民データ活用推進基本法が制定された昨年末から、急ピッチで関係各所への調整を進め、横浜自民党ではシンポジウムも開催し、素案に多くのご意見をいただき、その後修正をして、他会派のご理解も頂きながら進めてきました。

 

1人でも多くの議員の賛同を頂きたいと考えていますが、まずは今日の本会議のやりとりをお示しします。(質問項目は趣旨を記述しています)

 

Q自分の情報が知らないうちに利用されるという市民の不安にどうこたえるか?

横浜市が保有する個人情報については、個人情報保護法等により創設された匿名加工情報や非識別加工情報などの仕組みは整備されていません。

 

したがって、横浜市が保有する個人情報については、個人情報保護条例で、保有目的以外の目的での利用や提供が禁止されています。本条例が成立しても、現時点においては、原則として個人情報を官民データとして利用することはできないものと理解しています。
 

したがって、本条例によって、自分の情報が知らないうちに利用されるようになるのではないかという御心配は当たらないものと考えています。

また、改正個人情報保護法で規定されているように、個人識別性を除去したパーソナルデータをビックデータとして官民で活用できるようにすることは大変重要であり、それを可能とするために、非識別加工情報について本市の条例で定めることが必要であると考えています。

ご指摘の市民の不安については、非識別加工情報に関する制度を作っていく際に、しっかりと検討していく課題であると考えています。


Q情報をめぐる事故は後を絶たない。情報漏洩に対する市民の不安にどうこたえるのか?

情報漏えいを防ぐためには、個人情報を扱うシステムのセキュリティ対策とそれを扱う人のヒューマンエラーをいかにして、なくしていくのかの両面で取り組む必要があると考えます。したがいまして、市民の皆様の不安を解消するためには、個人情報保護などの制度で守るだけではなく、セキュリティ対策とそれを扱う職員の意識の向上にもしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。

Q横浜市のような政令指定都市、とりわけ特別自治市を目指す大都市では、一般にこうしたケースでは都道府県での規定に準じると解釈できるのではないか、条例制定を急ぐ必要はないのではないか?

本条例の最大の焦点は、法においては努力規定とされた市町村官民データ活用推進計画の策定を条例によって都道府県と同様に義務化することにあります。

本市においてはオープンデータや人工知能、IoT、さらには医療ビッグデータなどの取り組みにすでに着手しており、これらをパッケージとして本市官民データ活用推進計画に取りまとめることに躊躇する必要はありません。

 

また、今年度は現行の中期計画最終年度であり、夏の市長選挙後には直ちに次期中期計画が策定されることが望ましく、その動きと連動して本市官民データ活用推進計画が策定されることが望ましいと考えます。

 

以上のことを勘案すると、法の制定を受けて直ちに対応することが望ましいと判断し今定例会での上程を決断いたしました。

 

Q政令市等を区分していない理由、政令市等が従うべき義務について、国会議員など国の法案提出者の考えをどう聞いているのか?

国の法においては、官民データの活用を推進するためには、国だけでなく地方公共団体も含めて推進していかなければならないことから、都道府県や市町村においても官民データの推進に向けた計画を策定することとしておりますが、都道府県や市町村は、各自治体ごとに、財政面など様々な面で事情や情勢が異なっており、中でも、市町村においては、その違いが非常に大きく、すべての市町村が一律に計画を策定することが困難であると考えられることから、努力義務にしたものと聞いております。

Q本条例案で想定される活用の範囲、用途についての考え方を伺いたい。 
本条例は、効果的かつ効率的な行政運営、市内企業の活性化や市内企業の振興、市民が安全で安心して暮らせる生活環境の実現を目的としております。
したがいまして、これらに沿った活用、用途となるものと考えております。
また、今まで横浜市と共にオープンデータに取り組んできたNPOや大学などの機関、市内中小企業にとっても本条例の成立が取り組みの推進力になると考えています。

Qデータの収集、集計、分析、維持等には多大なコスト(調査費やシステム費など)がかかるが、特に行政においてそれらのコストをかける意義をどう考えるか? 

厳しい財政状況のもとデータの収集、集計、分析、維持等に無尽蔵にコストをかけるべきでないのは言うまでもありません。
大切なことは、かけたコストに対してどれだけ本市の都市経営に良い影響をもたらすか、すなわちプラスの社会的インパクトを出せるかどうかにかかっていると考えます。
例えば医療データにコストがかかるとしても、それらを活用した施策を展開した結果、トータルの医療費が削減できるのであれば、そのコストをかける意義はあると考えます。

Q公民で共有活用する際のコスト負担のあり方について見解を伺う。 
何を解決するためにデータを使うのかということがまずは重要であると考えます。
例えば、公民で共有し、横浜市の課題の解決をしていくということに対して相手方に必ずコストを負担させるということは難しいのではないかと思われます。
そういう意味でも、一律にどうしていくのかということについてご答弁申し上げるのは難しいのですが、先行しています国の事例を見据えつつ、官民共有の財産であるデータについてのコスト負担を考えていく必要があると考えます。

Qいわゆる官官でのデータ共有について推進することも法及び本条例案の趣旨に含まれるか? 

法律にも、特に明文の規定はありませんが、本市でも厚生労働省からデータの提供を受けている事例もございますので、国や県、自治体相互でのデータ共有につきましても、法律の趣旨として、官官でのデータ共有含んでいるものと認識しています。

 

Q本条例制定後のリーディングプロジェクトとして、データヘルス計画での各保険者との連携を期待するが見解を伺う。 

本市のデータヘルス計画への活用は重要であるという認識はありますが、一方で、ルールづくり等なかなか難しい課題があるということも認識しています。
したがいまして、今後、検討していくべき課題であるという認識を持っております。

 

Q本条例の趣旨に照らして会計データのオープン化に取り組むべきものと考えるがどうか?
新公会計制度のあり方につきましては、国が長年検討を行ってきたテーマですので、会計データのオープン化に関しても国の取組の方向性を見ながら検討していくべきものと考えます。

Q官民データ活用推進に関しては、実施条例等の制定、特別委員会の設置、勉強会の開催など、議会の関与を高めるべきと考えるが、その方策、方針についての考えは?

条例上でも、計画策定後ではなく、計画の案の段階で議会に報告することとしておりますが、市民の財産である官民データ活用に際しては、議会の関与が大変重要だと考えています。計画策定のスピード感を確保することを前提に、議会がより関与できる方策を検討していきます。