ランプ   草野浩一

指さきにまわす電球たましいのほのほのひえてうすぐらき部屋

しばらくは硝子をすべる雪があり   あゝいくつもの手まねきのよう

まだそこに人のぬくみのあるようなゆれ方をするランプのあかり

愛に尽き   記したのちのしずけさは書架のすき間へさし戻したり

部屋のすみつかい古した言の葉をたばねて抱けば俺という人間      (人間:ひと)