「ねぇ、お願いがあるんだけど。」
B美に話しかけられた。
・・・お願いって・・嫌だ( ̄へ  ̄
「あなたの家、衛星××チャンネルがあるんだって?撮って欲しい番組があるの。」
なんで
なんでうちに衛星放送があることを知っているの
どうやら、ど~しても見たいらしく、社内を探しに探しまくって私に辿り着いたらしい。
以前にも他の人に頼まれて撮ったことがあった。
「別にいいですけど。」
録画するくらいどうってことないからした。
「いつの何時ですか?何ていう番組ですか?」
聞くと、B美が好きなアイドルが出る番組
だからそんなに一生懸命探していたのね
「やっとみつかったよ~。よかったぁ。それで、あなたの家に録画できるDVDはある?」
「ありますよ。DVDに撮りますか?」
「うん、もちろん。永久保存版にしたいから~♪じゃあ、DVD買ってくるから、よろしくね~♪」
もし、撮り損ねたら怖い。
スゴイことを引き受けてしまったかもしれない・・・
翌日、B美がまた私のところに来た。
「きのうね、DVD買いに行ったんだけど、たくさん種類があるし、5枚組みとかでさぁ・・・。」
目で思いっきり訴えられた
「いいですよ、うちにありますから。1枚お譲りします。」
「本当に~♪じゃあ、1枚分のお金、あとで払うね!」
放送当日、夜10時からだった。
9時58分に私の携帯が鳴った
・・・B美からだった。
「もしもし?あと1分くらいだけど、大丈夫?」
「予約しましたから。」
「ちゃんと録画されるか、確認して。」
10時ちょうどにスイッチは入った。
「大丈夫ですよ。」
「じゃあ、明日持ってきてね、よろしく~♪」
本当に好きなアイドルを見るために一生懸命なのね
無事に録画できて、ほっとした
次の日、朝からB美は私のデスクの前を行ったり来たりウロウロしていた。
とにかく早く欲しいのだろう。
でも、私は意地悪した。
とっても忙しかったし、B美がウロウロしているのを知ってたが、絶対に顔をあげないで私は「忙しいから話し掛けるなオーラ」を発散しまくり、B美を近づけないようにしていた。
昼休みになり、渡した。
「ありがとう。DVD代、チョコでいい?あなたチョコ大好きだって聞いたから。」
確かに、私はチョコ大好き
DVDも数百円だし、お金もいいけど・・・
ギャラをチョコレートでもらっていると言う、私はゆうこりんですか
褒められることをして、お母さんからご褒美をもらう幼稚園児ですか
芸を成功させた水族館のアザラシですか
その日、B美は早く見たいのか、定時速攻で帰った。
速攻で帰るのはいつものことだけど
次の日、B美はまた私のところに来た。
「悪いんだけど、この番組をVHSにダビングしてくれない?」
話を聞くと、いつも一緒にアイドルを追いかけている友だちの分だとか。
何で
何でそこまで私はやらなくちゃいけないの
ダビングって超面倒くさい。
さすがに、ちょっと嫌になったので、今VHSが壊れているとウソを言った。
「そう。なら他を探すからいい。」
B美は不機嫌に、自分の席に戻って行った。
その後、「役に立たない」と陰口をたたかれたらしい。
でも、今回はささやかながら反抗した。
陰口を言われたが、少し勝った気分になったし、どうでもよい
VHSは電気屋にでも行って、ちゃんとお金払って手に入れなさいっ
何でも簡単に手に入ると思ってはダメです